俺ってば今、恋してます。
普通の人になら、気持ちわるいって思われるような恋だけど。
おもちゃのキャベツ
今日もいつもの場所にあの人発見。あいかわらずのクールビューティーなおにいさん。商品の前で黙って読書してる。
商品ってのは、ふきんとかサイフとかいろんなモノで、なんて言うんだっけこういう店…あ、そうだ!テキ屋さんっ!道端でいろいろ売ってるアレね!おにいさんはテキ屋の店員なんだってばよ。
とにかく必要以上は喋らないクールな人で、年は俺より2.3こ上くらい。
で、名前は…
「あの!名前なんていうんですか?」
俺は読書中のおにいさんに、思いきってたずねてみた。いつもはこの出店の前を通るとき、俺が一方的に熱い視線を送ってるだけなので、話しかけるのは今日が初めてだ。
「………」
おにいさんは、全部の集中を注いでいた本から視線をあげ、俺を見た。お兄さんの綺麗な黒い瞳と目が合う。俺の心臓は高鳴った。
「あ、の…俺ってばおにいさんの名前…」
「500円」
「え、」
「それ、500円」