君と読む頭文字
「エッチって…なにからとった頭文字なんだろ」
空が青くて和やかな今日。ナルトはさるすべりの樹にもたれたながら、隣でスケッチを楽しむボクに言った。ボクは何を突然、とナルトを見る。
「…さあ。ハレンチの頭文字とかじゃないかな?」
「ハレンチか…なんかしっくりこないってばよ」
ボクが鉛筆を止めて答えてやると、ナルトはあごに手を添えてうなる。ボクはその様子に肩をすくめ、再び鉛筆をスケッチブックに走らせた。
「なあサイ」
「………」
「サイってば、お前もちゃんと考えろよな」
「なんでボクが」
ナルトはまた、ボクの名を呼んだ。でもナルトの視線は、先ほどからずっとさるすべりのトゲにある。
「だって、お前ってばエッチじゃん」