It is ..love.. foolish
雨が冷たかった。
背丈ほどものびきった雑草が茂り、古い木でできたベンチが転がっているだけの公園に、男はいた。
彼と話すのは久しぶりだ。双方、普段から口数は少ない方なので、別にオカシイことはない。ただ、お互いに仲がいいのかと訊かれれば、返答に迷う。迷うどころか、即答でよくないと答える可能性も、ある。
つまり、仲はよくない。
男は、今にも崩れだしそうな古い樹木で出来たベンチに腰をかけている。
男の漆黒の瞳は、雨上がりの空をうつしているだけで、自分の姿がうつっているかどうか怪しいものだ。
「知ってるか」
男が口を開く。
「なにを、」
「ナルトは植物がスキなんだ」
男は笑った。それがどこか、狂人のように見えたのは、胸の奥に刺さる嫉妬のせいだろうか。
「この木も…」
男は、尻を置く樹木を撫でた。
「可哀想だと言っていた」
燃やしてくれ、と頼まれたのを断ったと男は言った。男からすれば、この木は幸福なのだと言う。
「この木は…ここで腐れて土になることを望んでいるんだよ」
なぜ、男がそんな話しをするのかはわからなかった。ただの、あの子は自分のものなのだという主張なのかもしれない。
それでも黙ってきいていたが、淡々とした彼の声は半分以上が頭から流れていく。
「 お前は、」
ナルトを幸せにしてくれるのか?
男が初めてこちらを見た。
「俺じゃ…幸せにできない」
サスケ、お前じゃなければナルトは幸せになれないんだ。
男はまた鉛色の空を見上げた。
end
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