蝶々の勝因
また、笑った。本日7回目の笑顔。あの子は最近よく笑う。まるでひまわりみたいなあの子の笑顔は、何度見ても飽きない―――――…
ネジはフッと口元を緩ませた。視界のナルトにつられたのだ。
「ネジ、」
「……」
「ネジ!」
「!」
ネジは自分の名前が呼ばれているのに気付いて目を広げた。
「も〜何ボケッとしてんのよ、」
「テンテン…」
ネジの顔を覗きこんできたのはチームメイトのテンテン。何度もネジを呼びつづけを呆れるテンテンを見て、ネジは小さく謝った。
「…すまない」
「まったく…最近何を目で追ってるわけ??」
テンテンはネジの視線を独占している人物を捜した。
それは幾分容易く見付かる。
「ナルト、ね」
「……………」
テンテンが呟くと、ネジは無言で頷いた。
「……好きなの?」
テンテンはネジの隣に腰をかける。ネジはその唐突な問に微笑した。
「だってアイツ…綺麗だろ?」
テンテンはキョトンとした。ネジの言葉が、あまりにも以外だったのだ。
「ねぇネジ、」
テンテンは驚いた顔のままもう一度ネジの名を呼ぶ。
「ネジ、気付いてた?」
「――――何を、」
「ナルトの笑う顔みるたび、ネジだって笑ってるのよ」
「!」
「綺麗な花が咲いてるのを見た蝶々が笑うみたいな、優しい顔しながらねっ」
テンテンはパシッとネジの背を叩いた。ネジは突然の不意打ちに痛がる。テンテンはそれを見て満足そうに笑うと、クスクス笑いながらその場を去った。
ひとり陣内に残されたネジは、テンテンの言葉の意味を考えてみた。そして笑う。
(ナルトがいたから、無力な蝶の俺が、蜘蛛にだって勝つことができたんだな…)
□ □ □
あのこは気付いているだろうか?
僕がいつも
君だけをみつめているということに。
end
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