愛の形
サスケを止められなかった―――…
そう言って泣き崩れるアイツを、どこか傍観的に見てた。
まるで何かの小説の、可哀想なお姫様みたいだと思った。
サスケに置いてかれて、おまけに親友のシカマルに告白までされて、アイツの心は多分、メチャメチャ不安定になってるだろう。
俺はこれ以上、アイツには悩んで欲しくない。
だからこの想いはしまって、しまってしまって、蓋をした。溢れちまわない様に。
「よう、ナルト」
「キバっ」
ナルトは俺を見るなり笑顔になった。俺もぎくしゃくな笑顔で返す。
「おっまえ包帯グルグルじゃんか、」
「えっへへ。でももうちょいで取れるってばよ」
「あんまり無理すんなよ」
「ワンッ」
「ありがとってばよ、キバ…赤丸」
寂しそうに笑うんだな、と思う。そんな顔ばっかされたら、俺は蓋を開けちまう。
でも、我慢だ俺。
抱きしめたいなんて思うな。
「ナルト…」
「ん?」
確実なお前の幸せを祈る。
「早く幸せになれよ」
これが俺なりの、愛の形だから。
end