青空の下で独り言
「曇、」
ナルトは、空を見上げるなり呟いた。辺りには誰もいない。言わば、独り言。
ナルトが見つめている雲は、形が定まっていない、煙みたいな雲だった。
ナルトは微笑む。
「ダメじゃん、アスマ先生……」
―――独り言は、寿命が縮む―――
昔、誰かが言っていたのを、ナルトは覚えている。
「空で煙草なんて吸ったら、星が見えなくなっちゃうじゃん」
―――あなたに近付けるなら、寿命が縮むのもいいね―――
ナルトの頬を、涙が伝う。大切な人が、もういない。
「先生っ…てば、死んでも禁煙できないなんて、ダッセェ……」
―――雲が、煙が邪魔で、
あなたが見えない――――――
ナルトは、誰も聞いてはくれないはずの話しを語り続けた。
それでも、ナルトの寿命が縮むことはない。何故なら、彼の言葉はいつだって、みんながちゃんと、聞いているから。
end
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