--花--
花のような、儚いモノにほど…何故か、人は惹かれ続ける。ならば、俺のこの感情もその類なのだろう。
「我愛羅の髪の色は、赤いよな」
俺の髪を見て、サワサワと触りながら、ナルトが言った。何を今更、と俺はナルトの顔を覗く。
「どうした、急に」
「いや、俺の回りじゃ結構珍しいからさ。こんな見事な赤茶色」
焦茶とかなら案外いるけどさ、とナルトは笑った。
「お前の金髪だって、珍しい。俺の周りは…まぁ、テマリなんだが、金髪でもお前ほど輝かない」
俺は言うと、ナルトが少し照れたようにヘヘッと笑い、俺の胸板に顔を擦り寄せてきた。
「……ナルト」
「我愛羅、好き〜」
ナルトは、俺がされて嬉しいことを知っている。俺も、ナルトがされて嬉しいことを知っている。
「タンポポに似てる」
俺はナルトの髪に鼻を埋め、手で背中を抱きしめてやりながら言った。これがナルトの、されて嬉しいこと。
「ん。我愛羅の胸の筋肉好き好き〜」
「…お前は華奢だな」
「うるせってばよ」
ナルトは、言いながら瞳を閉じた。長い睫が、やはり金色に輝いている。
「花ほど、清らしくないが、」
俺はナルトに唇を重ねた。ナルトから小さく声がもれる。
可愛い、と思った。
「花よりずっと、愛しい」
花はいずれ散り、土に還える。残るのは、花の残り香と虚しさだけだ。
ならば、この想いもそうか。
ナルトが傍にいなくなれば、残るのは……
あの、眩しい金の残像と、
虚しさだけ、
なのだろう。
end