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ぐちゅり。何とも嫌な音と感触を残して、ソイツは私の手の中で果てた。弾けた赤色が私の掌と服を汚す。ああ、またやってしまった。こんな事ならば、最初から赤い服を着てくるべきであった。白地に染み込んだ鮮やかな赤色。眉間を引き絞る私の隣で、新八が愕然とした表情の中、嘘でしょと小さく呟いた。何が嘘なものか、お前にもこの赤が見えるだろう。そんな顔をされたって、駄目なんだ。やってしまったものは仕方が無い。大体にして、私は、お前とは違うのだ。
「…コイツらが、脆過ぎるのが悪いのヨ」
たった一言、吐き捨てるように口にした私の言葉を耳にした彼は、眼鏡の奥の眼差しを苦く細めて、首を左右に振る。そうして、諦めないで、と、唇だけで告げる母親のような少年の表情に少しだけ泣きそうになった。どうして私はこうなのだろう、もっと上手く振る舞いたいのに。こんな風に悔やんだって、私の掌は赤いまま。それでもお前は諦めるなと言うのか。無言で睨んだ視線の先、新八はやんわりと笑って、先と同じようにその掌の中身を私に差し出す。
…ああ、人の世を生きるという事の、何と難しい。私は唇をきゅっと噛んで、それを手に取った。





トマトなんてそのまま食べたらいいのに!





080123

トマトの湯剥きをする神楽(笑)

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