好きだと言われた、泣きはらした目で言われた、死にそうに青い顔で言われた、掴まれた腕に爪が食い込んだ、身体が冷えていた、好きだと繰り返された。 「――血迷ったアルカ?」 「全くもってその通りですねィ」 「わたしの一番は、銀ちゃんアル」 「…識ってらァ、そんなこと」 雨の痕が残る公園は黒い雲の下。本当は何も聞きたくなかった、だから黒い服の銀ちゃんを赤い服で送り出したのに、どうしてこんな不細工な顔と向き合わなきゃいけないの、不愉快だからさっさと消えてよ。 「それでも好きだ」 なんて、似合わない台詞。笑って仕舞う程殊勝が過ぎて、らしくない。あっちに行け、ばか。願う私とは裏腹に詰まる距離は、思考ごと呼吸を奪って。 頬に落ちた水の玉を、生まれて初めての感情でいとしいと思った。 071229 似合わねーヨ。 声にもならなかった。 *ブラウザバックでお戻り下さい* [グループ][ナビ] [HPリング] [管理] |