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それでも偶に夢に上る、血に塗れた自分。黒い朱のとても落ち難い事を、私は識っている。だからきっと、この手はまだ朱い。

目を覚ますと、身を濡らすのは血ではなく、ただの汗。涙も出ない。そうして世界はこんなに暗かったかと思考を巡らして上体を起こせば、漸く此処が押し入れなのだと思い至った。襖を開けたなら此処よりはまだ明るい場所に出るのだろうけれど、ああそれでも、私の朱い手はそれに至らない。多分、知られたくないのだ。本能として未だ此処に在る狂気を。

夜の兎は朱いウサギ。そういえば、母の白い手も時折朱に染まった。私はそれのとても悲しかった事を、よく覚えている。なんて悲しいまでに鮮やかな朱。どうか、かみさま。固い寝床に身を投げ出し、キツく目を瞑る。夜明けの気配を直ぐ傍に感じながら、私は再び夢に落ちていった。
どうかお願いだから知られませんように。それでも時々朱が欲しくなるなんて、彼らにだけは、知られませんように。丸めた身体は誰に見つからなくてもいいから、お願いよ。





080405


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