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この世に神様がいるというのなら、それはきっとこの上なく意地悪で狡猾で鬼畜で、そう、まるで私の愛しい彼に相違ないのだと理解した。三年間みっちりと想い続けたあの人は、三年の春にひょっこりと留学してきたあの子と添うて、二人で幸せになるんですって。私はチョコも渡せずに、その上くっさい掃除道具入れから現場を目撃する羽目になって。ああこれどんなプレイ?何故、どうして卒業まで待ってくれなかったのかしら、あとたったの1ヶ月じゃない。最後迄馬鹿な女でいたかったのに、いられた筈なのに。ひどい、こんなのって台無し!

教室に一人佇んでいた空気のような級友に半ばまくし立てるように紡いだ言葉は誰に聞かせるでもなく、ただ棄てたかっただけのもの。それはゆくあてのない気持ちと、彼用に拵えた甘い甘いチョコレートケーキ。

自嘲気味な笑みは振り上げた腕を掴む男の手に止められて、案外と骨張った手のひらがもう一つ、今度は私の手の中の赤い箱を捕まえる。

地味な級友は無遠慮に、私の言葉とゆくあてのない気持ちとあの人に向けた甘い甘いチョコレートケーキを全て拾い上げて、そうして私はこの世に神様なんて居ない事を識った。


救いも無い道に視界が滲んで、途方に暮れて仕舞う。棄てたかった私を掬う手は唯一優しくて、やっぱり残酷だった。  






080215


「…ひっく……そ…その…チョコっ…あげ…っから、……雌豚って罵ってェェ…」

「…いや、あの、ちょ、気持ち悪いんだけど」



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