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北風の冷たさは太陽の熱に敵わなかったけれど、計算高い北風には太陽の温もりすら意味を成さないらしい。お願いだから私にコートを脱がさせないで、無理矢理なら抵抗だって出来るのに。床に落ちた布の音はささやかに私の耳を侵して、彼は電灯を背に私の視界を奪って、そうして私の唇は言葉を殺すのに精一杯になった。誰か助けて、あの子の顔すら浮かばないの。冷たさの正体なんか知らなければ良かった。




落ちる事を躊躇っている時点でもう、私の肌は貴方に赤く染まっていたのね。






070615


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