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空の青々とした中に小さな雨の降り注ぐ午後、其の矛盾はまるで彼の如くに不可思議に不可解に、けれども確かな引力をもって私を魅き付ける。
日差しさらさら雨燦々、傘越しに覗くこの光は、優しい毒のよう。ああ。浸食される。陽と共にパラパラとおとされる光の粒に身を投じるは、手放した傘が地に落ちるのを待つ拠り早く。
赤いチャイナ服が真紅に染まって、桃色はつしりと濃く重く、光の雫は易々と肌を奪った。私の小さな体は逃げ場もなく穏やかな奇跡のようにゆるりと天の涙に包まれて、そうして私は其れの暖かい事と、自ら逃場を放棄した事とを識る。
切なさの心地すらも甘く、あめのような吐息をほうと洩らして手を伸ばしては、掌を流れ零れる水の軌跡に、案外と苦い恋道を悟って睫毛が揺れた。触れる事すら叶わぬというのに、絶えず降り注いでいるのはきっと、遠い光ではなく私の眼差しなのだ。



070613



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