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私の世界を回すのは私一人で良かった筈なのに、その思想は呆気なく覆される。此の世界に触れるひとは決して私一人では無いし、緩やかに流れていく時間の中で、大切でない時なんてひとつも無い。
他愛ない子供である私が、踵の高い靴を履ける大人になってゆくように、変化は其々の時間に訪れる。約束の鈴蘭は今日も仄かに香って、耳朶にかかる負荷は動く度につしりと私の胸に響いて。

どうか君は変わらないでいて、なんて、願う事は決して無い。だって私はきっと君の知らない私になってゆく。だから君だって私の知らない君になっていていいのだ。共有していない時間を嘆く必要は無い。だってそれでも私の世界には君が居て、触れられない距離も時間も変わらず愛しいのだから、例えば君が今と変わってしまったって私の世界は揺らがないのだ。

柔軟な太陽と頑なな月は交互にてっぺんにのぼって、この場所を隅々まで照らす。私の世界に触れてくれるその光と君の手のとても優しいこと。背伸びして耳飾りを欲しがったあの日の私の我が儘を、受け入れてくれた君の笑顔の未だに愛しいこと。
それを感じることが出来る今の自分で良かったと、心から思うんだ。


 


071129










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