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彼女は全てが真白だった。白銀色の美しい長髪も、黄金色の大きな双眸も、白磁の滑らかな肌も、全て。
其の白は魅了を優に通り越して懺悔に泣きたくなるような心地を俺に植え、此の身を凍り付かせる。愚鈍な黒い眼だけがみっともなく、彼女の白が動く様を追い続けていた。

「君さえいなければ、彼の人は私のものになるの。だから」

彼女は全てが真白だった。玲瓏と玉を転がす様な声言葉も、無造作に叩き付けられる理不尽な悪意も、振り上げられる其の華奢な手に包まれた鋭利な刃物も、全て。
其の白は恐怖を優に通り越して洗礼の如き光を俺に浴せ、此の心を掬い上げる。だから俺は彼女の白が汚れた朱に染まる迄、一歩だって動けなかったんだ。



070606


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あきゅろす。
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