通学路の途中に、とても不細工な猫が居る。 灰色のブロック塀の上に鎮座して、彼は世界を見下ろしていた。 ブチ模様は見た目にも栄養が無くてパサパサ。 褪せた緑色の目は半分座っていて、短い尾っぽが時折思い出した様に上下に揺れる。 決して交差せぬ視線が、少女と猫の絶対距離。 触れはしないけれど、逃げもしない。 「おやぶんは目を瞑ると余計に不細工だから、開けていた方が良いね」 トーコは猫をおやぶんと名付けたけれど、猫は当たり前に返事をしなかった。 070717 きっと明日は違う名前で呼ばれるであろう事を、彼だけが識っている。 *ブラウザバックでお戻り下さい* |