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パピーより一回りも太い指に嵌る不自然な銀色が、私の眼を通じて脳の深くに突き刺った様な気がした。何とも気色の悪い笑みを浮かべながら、漸く三年越しの求婚を受け入れて貰えたのだと幸せそうに語る彼へ、言葉を殺す以外、私に一体何が出来たのだろう。
強く握り締めた傘の柄が、じんわりと濡れているのが分かる。いっそ呼吸が止まってしまえば良いのにと思った。此の心臓が跳ねる事に、今更何の意味があるの。並んで座るベンチが窮屈で、そんな風になってしまう私と、そんな風を全く察して呉れない此の男が少しだけ悲しかった。



あと少し、あと少しであの頃の彼女に追いつける所だったのに、時間は彼らの間にも平等に降り注いでいたんだね。こんなにも残酷に、こんなにも当たり前に。ああ、もうどうやったって此の手は届かないんだ、なあ。




070704



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