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自業自得だと思った。そんでもって何で俺んところに毎回毎回いちいちいちいち失恋話を持ちかけてくるのだろうと、ふと思った。大体、自分の男に、自分と友達のどっちが大事かなんて聞くこと自体が、俺からしてみれば可笑しいと思う。どうせ、もしそれを、女が男に言われる立場に立ってみたとしたら、逆ギレとかするか、友達だよ、なんて当たり前みたいな顔をして返してくんだろうなあ。嗚呼そういう時に、男って損だよななんてため息が出る。男も男で、ホントにずっとその女と居たいんだったら嘘でもいいからお前だよとかなんとか言っとけばいいのに。あ、こんなだから俺も長続きしねえのかな。ま、いいけど。


「もう、どうしよう」

『どうしようってか、別れちまったんだろい?』

「でもまだ好きなの」


なんだそれ。ふったのはどっちだ。男はふられた時点で、もう次の恋に向かって出発中だろい、多分。と、まあそんなことは可哀想だし(後が怖いし)、口には出して言えないから、適当な相槌で誤魔化した。
そもそも俺にこんな風に話を聞いてやる義理とか人情とか(あれ、なんか違うな)そんなもんないハズなのに、何でってば俺は黙って、いつもいつもこいつの話 を聞いてやっているんだろうと思う。ただ、こんなことする女もいるんだなあとか、それだったら俺はこうするだろうなあとか、いろんなパターンみたいなもんの勉強になる点、損ばかりでないことは確かだと、思うことにする。今、決めた。


「次どうしようかな」

『は、何言っちゃってんの』

「次の恋愛だよ」

『いやそれは分かってるけど』


ああいい人いないかなあ、とかなんとか俺の目の前で1人で嘆いてるこいつがもし男だったら、俺はゴツンと一発、頭から殴ってたかもしれない(日頃の鬱憤晴らしに、いや、うそうそ)。今までは可愛い、とか、いいな、なんて思ったらうじうじすんのとかは性に合わないから、それなりに積極的にやってきたけど、こいつのせいで(ってことにしとく。てゆかそうだ)「こいつは可愛いけど、きっとあのパターン」「あいつもあのパターンだろうな」とか、いらないことばかり深く考えるようになった。可愛いなあと思ってもイヤあなニオイがしないかみてしまう。ホント、最悪だと思う(思うだけな)。


『お前さ、もっと1人だけを愛し通す、みたいなこと、できねえわけ』


ついに本音がポロリと漏れた。俺にしてはいい言葉が出た、と思う。 少々伏せがちだった顔を軽く上げて、目が合って、間があいた。ちょっとだけ、真剣な瞳だと、思う。いつも綺麗だとは思うけど、今はもっと、綺麗だ。


「、多分無理かなあ」

『…なんで、』


周りが、やけに静かだと思った。声が、やけに弾んだ、だけど、澄んだ声だと、思った。こいつの声、初めて聞いたような、そんな気がした。だけどどこか、なんか懐かしい気もした。なんなんだろう。


「だってずっと前から、丸井のこと、好きだなあって思ってたから」



全てはキミのせい
(俺もだ、って思う)
(これもお前のせいだろい)



2008/01/28 (C)mika. 






 


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