初めての出会いは最悪だった。
「ちょっとあんた!わたしの友達なに泣かしてんのよ!?」
「うるせえ女だな、遊んだだけだろ?」
「さいってー!!」
「お望みならお前も抱いてやるよ」
「お断りよっ!!」
親友のサリアを弄んだくそ男。
こんなやつが白ひげ海賊団だなんて白ひげも可哀想だなんて思ったのが昨日のようだ。
「もういいよ、別にわたし気にしてないし」
「ほら、彼女もそういってんだろ」
「サリア!昨日までわんわん泣いてたくせに!」
「いやもうあんたたちの子供みたいな言い合い聞いてたらどうでもよくなったわ」
「「おい」」
結局和解しちゃって彼らは一週間後、島を去った。
そしてその一週間後、
サリアが殺された。
次に出会ったとき、彼とわたしは、海賊と賞金稼ぎだった。
「お前…!?」
「っ、サッチ…」
「なんでこんな所でなにしてんだよ!?」
「サリアが、」
「サリアがどうした?」
「…サリアがっ、殺、されたのっ」
「!?」
白ひげ海賊団が島を去った数日後、悪名高い海賊団が島にやって来た。
そこでサリアは海賊たちに殺された。
無理矢理船に乗せようとしたのをサリアが拒絶して船長の逆鱗に触れた。
そしてサリアは下っ端のクルー殺された。わたしの目の前で。
「サリア、わたしっ、助けられなかった…!!」
「お前が悪いんじゃないだろ」
「だから、わたし、復讐してやるの……」
「やめろよ」
「いやだ、絶対にあいつらを許さない」
「聞け」
「聞かない!」
「聞けって!」
「いやっ、聞かなっ、んんっ!」
突然塞がれた唇。
貪るような荒々しい口づけに抵抗も虚しく、わたしはサッチと快楽の波に溺れた。
明け方、先に目が覚めたわたしは隣でぐっすり眠るサッチを見つめ、体に巻き付いた両腕をゆっくり解くとその頬にキスを落とし宿を去った。
「……バカな女」
そんなサッチの呟きはわたしの耳には届かなかった。
数ヵ月後、わたしが探し求めた憎き海賊団が停泊する港にようやく辿り着いた。
サリアを殺した男を殺し、わたしの復讐は終わりを告げた。
「…っ、はあっ、はあっ」
右肩と左足に数発の銃弾、腹部に刺し傷、武器は靴底に隠していた短刀のみ。
これは想定外だった。
海賊団の一瞬の隙を見計らってサリアを殺した男の息の根を止めたまではよかった。
だけどそれにすぐ気づいた船長がわたしの右肩に銃弾を打ち込み得物の刀は地面に落ちた。
逃げようと方向を変えたときに別のクルーから左足を撃たれ、死に物狂いでその場を離れた。
「見つかるのも時間の問題かっ、」
わたしが歩いた場所には夥しい血のあとがついてまわっていて、まるでヘンゼルとグレーテル。
悪い魔女がわたしのそばまでやって来ている。
「っはあ、サリア、わたしもそっちにいくのかな……」
でもわたしはサリアと違って人を殺してきたから、天国じゃなくて地獄行きかな……。
「ふふっ、まるで海賊ね……」
海賊か……、すぐにサッチの顔が思い浮かんだ。
ねえサッチ、わたしサリアの仇討ち出来たんだ。
でもそんなわたしももうすぐ死んじゃいそうなんだけどね。
…あなたは今も船の上で仲間たちとバカやってるのかな。
それとも上陸した島で女の人とよろしくしてるのかな。
…まあどっちでもサッチらしいよね。
「もう一度、会いたかったな……」
そして好きだって、伝えたかったな。
「いたぞ!!」
「てめぇよくも仲間を殺しやがって!!」
「殺してやる!!」
殺気だった連中がすぐそばにいる。
ああ、目の前にあの海賊団の船長がいる。
ピストルをわたしに向けて……
あ、左手動くんだ。
本能のままに左手で握りしめていた短刀を目の前の男目掛けて投げると同時にわたしの視界は真っ暗になった。
……あれ、痛くない。
でもなんだかつかれちゃった。
そしてそのままわたしの思考もフェードアウトした。
――次に目が覚めたとき、わたしは誰かに抱き締められ、その人は泣いていた。
「…サッチ?」
「…お前、なんでだよ、どうして…」
「泣いてるの…?」
サッチを見上げれば彼は溢れ出る涙を拭おうともせずわたしを抱き締めるとまた、嗚咽を溢し始めた。
「なあっ、なんでだよ、っ、」
「ねえサッチ」
「なんだよ…」
「好き」
「…お前、今のこの状況でいうか?」
「うん、サッチにもう一度会えたら真っ先に言いたかったの」
「バカなやつ」
そういってサッチは泣きながら笑った。
いつの間にかわたしも泣いていて、わたしたちは泣きながら、笑いながら、キスをした。
二度目の再会、それはわたしと彼の死を物語る。
だけどこれでわたしたちは永遠に一緒なのだ。
(三度目の別れなんてないよね)
(あってもおれがさせねえよ)
(サッチって意外と王子様?)
(黙れバカ女)
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