「もう疲れたの」
そう言えばマルコはは?と眉間にシワを寄せてこちらを見た。
「何がだよい」
「…全部」
待つことも、追いかけることも、泣くことも、笑うことも、怒ることも、喜ぶことも。
何をしたってあなたは振り向いてくれない。
なにがしたいの?なにが欲しいの?今、なに考えてるの?
いつもあなたは表情ひとつ変えずにわたしの隣に立っている。
わたしばっかり。
わたしばっかりマルコの顔色うかがって話しかけて、手だってほとんど繋いだことないし、キスなんて片手に数えるくらいしかしたことない。
本当はもっと恋人らしいこといっぱいしたかった。
いつもよりうんとお洒落してマルコに会いにいっても顔色ひとつ変えず、わたしの欲しい言葉はひとつも出てこなくて。
それでもマルコのそばにいれれば幸せだった。
でも、もう限界なの。
「もう、いやだ、マルコのそばにいることも、マルコの声を聞くのも、マルコの、顔を、見るのも……」
「……」
だけど、どうして?
愛想なんてとうについたはずなのにどうしてこんなに胸が苦しいんだろう。
どうして、涙が止まらないんだろう。
「もうっ、疲れたっ、よ…」
愛することに疲れた
わたしだって、愛されたい……。
消え入るように呟いた瞬間、ぐいと腕を引き寄せられわたしはマルコの胸の中にいた。
マルコの声を聞くのも嫌なはずなのになあ、というマルコに耳を傾ける。
「…愛することに疲れたんならよい」
「……うん」
「また愛したくなるように骨の髄までおれが愛してやるよい」
ああ、もう、マルコには敵わない。
ぎゅっと背中に腕を回せば途端に激しい口付けがわたしを襲った。
マルコからの初めてのキスだった。
(んっ、ふぅっ)
(ん、はあっ)
(は、げし…)
(これでも我慢した方なんだがねえ)
((ぞっ))
((全く誰のために今まで我慢したと思ってんだい))
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