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夜が来ないエニエス・ロビー。


夜、というには明るすぎるその光を遮断するように閉じられる真っ黒いカーテン。
その闇に囚われてしまわないようにカタカタと震える自分を強く抱き締める。


そんなわたしを包み込むように抱き締めるもうひとつの腕。



「ルッチ、さん…」
「なんだ」



自身を抱き込むように丸まっていたため出来るわたしとルッチさんの隙間。
ゆっくりと腕を解き折り曲げていた足を伸ばすと途端に縮まるその距離。



「ぐ、苦しいです…」
「鍛え方が足らねえな」
「うう…」



ルッチさんの胸に顔を押し付けられ苦しいと言えば降ってくるいつもの毒舌。
いつもと同じ傍若無人なルッチさんにホッと息を吐きその厚い胸板に頬を擦り寄せる。


未だに慣れない真っ暗闇。


過去にトラウマがあるわたしは人一倍暗闇が怖く、夜も眠れない。
そんな時、ルッチさんはわたしを優しくとはほど遠い力でわたしを抱き締める。
最初はわたしの事を殺すつもりかと思ったそれは、ルッチさんの優しさで、少しでもわたしが安心して眠ることが出来るように配慮してくれたことで…。



「…眠れるか」
「ん、ルッチさん…」
「バカヤロウ、無理するな」


そういって優しく髪を撫でる。
その手がとても優しく、わたしの意識はふわふわとしだす。

うとうととしだすわたしを見てルッチさんが頭上でふっと笑った気がした。


「――、」


微睡む意識の中、小さな声でルッチさんがわたしの名前を呼ぶ声がした。
虚ろ目でルッチさんを見上げれば優しく、でも小さく、笑った。

わたしもつられてふわりと微笑めば近づいてくるルッチさんの顔。

わたしは自然と瞼を閉じた。
そうして静かに重なる二人の唇。






優しくキスをして




そうしてわたしは安心して眠りにつく。




(…おい)
(すぅ…)
(寝たのか…)
(ん、るっち、さん…)
(寝言で人の名前を呼ぶな)
(んっ…)






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