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『甘やかな』

甘い匂いがする。
それはいつだって、僕を誘う香り。

「今日はここまでにしましょうか、恭弥さん。」

いつだって甘やかな彼は、またこうして僕を惹き付ける。
それに惑わされながら、僕はまた、噛み付く。

「痛いです!!離して下さい!!恭弥さん!!」

「しょうがないよ。だって君が甘い香りをさせてるから。」

また、噛み付きたくて口を開ければ飛んでくる、厄介な紐状の、しなるそれを真っ黒なオオカミはひらりと後方に飛び避けた。

「危ないよ、綱吉。」

「えぇ!俺がね!!」

このままじゃ食い殺されますね、俺、とかたや鞭をオオカミに振るった少年は、大きなため息を吐いた。

誰も居ない、深夜のサーカスのリングで、話す一人と一匹。
これは、真っ黒なオオカミと、そんなオオカミに恋をしてしまった、ちょっと鈍くさい少年調教師のお話し。

この少年とオオカミは出会いからして奇妙な物だった。少年こと沢田綱吉は、非常に鈍くさい少年だった。小さな頃からサーカスの一団として過ごしていた綱吉だが、ある日興業地を別の場所へと変える為に移動していた途中の森で、置き去りにされてしまったのだ。
そして、忘れられている事にちょっぴりだが悲しみつつ、夜は動かない方が良いだろうと入り込んだほら穴に、彼ことオオカミの雲雀恭弥が居たのだった。
そして、綱吉が死を覚悟したその時、オオカミは言ったのだった。

『僕が連れて行ってあげるよ。』

そして、綱吉と雲雀は今に至る。

「あの時はびっくりしたんですよね〜。恭弥さん、喋るし甘噛みしてくるし、しまいにはサーカスに入るって聞かないし・・・本当に大変だったんですよ?」

「ふーん。でも、あの時僕以外だったら君、食べられてたよ、確実に。それに、言ったでしょ?君が好きなんだって。だから大人しく君は、僕に食べられてなよ。」


「本当に強引ですね・・・でも、俺もそんな恭弥さんが大好きですよ。」

最初は、怖かった出会いも今は良い思い出になっている。
そして、鈍くさい綱吉にこうして甘えてくる雲雀は、決して他の人間には慣れる事は無く、それがまた、綱吉にとっては愛しいのだ。
最初は戸惑うばかりだった出会いも、今は掛け替えない物。
綱吉は、雲雀の背を撫でながら、ほわりと微笑んだ。


「ありがとうございます、恭弥さん。」

「・・・どういたしまして、綱吉。」

そう言って、首筋に甘く噛みついて、一生消えない痕を刻むオオカミは、酷く幸せそうだった。

君の甘やかな香りは、麻薬の様で。
けれど、君だけが居ればそれでいいから。

また、君を甘やかに溶かしながら、溺れていこう。

今も、一人と一匹は共に暮らしている。



愁雪様

遅くなっていまい申し訳ありません!!
リクエスト頂いておりました、獣化でひばつなです。
甘えているでしょうか・・・ヒバリさん・・・
しかも、つなたんが調教師・・・
管理人の危ない趣味全開ですね!!!
本当に申しわけない!!

愁雪様のみ、お持ち帰りOKです。
リクエストありがとうございました!!






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