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磯と瑞の交換日記


最近、悠哉は瑞垣に勉強を教えてもらっているらしい。
瑞垣は古典が得意で、教え方も上手い。二人がノートを覗き込んでいる様子は、傍から見るとなかなか微笑ましいと思う。


仲良くなったみたいで嬉しかった。悠哉も瑞垣も、大事な友達じゃけえ。


けど、俺がノートを覗こうとすると、慌てて閉じてしまう。そりゃ、古典は苦手じゃけど、どんな問題か見せてくれたってええと思わん?

二人でこそこそ、何を書いとるんじゃ?隠されると気になるじゃろ。





海音寺には秘密の、磯部と瑞垣のノートの中身、

覗いてみる?

(まずはプロローグ↓をお読み下さい)












〜プロローグ〜

あぁやってしまった、と悠哉は嘆息して目の前のノートを見やった。


話は数日前に遡る。悠哉は一希と文房具屋に来ていた。一希が使っていたペンのインクが切れたので買いに来たのだ。そこで偶然にも悠哉は俊二の姿を見つけた。一希や彼本人には言ったことはないが、なんとなく悠哉は俊二のことが苦手であった。あの飄々とした言動があまり好きになれなかったのだ…というのは表向きの理由であるのだが、とにかくわざわざ声をかけてやるでも、一希に気づかせてやるでもない、と無視していたというのに。目ざとく俊二はこちらを見つけて声をかけてきた。

「あ、一希ちゃんと磯部くんやないの」

「瑞垣?」




…という訳だ。
あぁ、何ですぐに店を出なかったんじゃろう。

「ちょっと悠哉くん、俺の顔見てため息とかつかんといて、やぁねぇ」


俊二は何が可笑しいのかけらけらと笑いながら俺の背中を叩いた。痛えよ、というか何か悪意がこもっている気がするんですけど。
一希は先程ペンを持ってレジへと向かった。時間帯が悪かったのか店内はいつも以上に込み合っているのでしばらくかかるだろう。ふと俊二と目があった、彼特有の人を皮肉ったような笑い方で口角を持ち上げる。俊二は一本ライトブルーのペンを手に取ると、ペンの色や書き心地を試すための紙に何かを書き付けた。ただの勘だが、嫌な予感がする。


「悠哉くんは一希ちゃんが好き、と」

「は?…ってうわ書くなよ!」


こいつ本気で書きやがった!慌てシアンのペンを手に取り、それを塗りつぶす。一体全体何をするのだと怒鳴ってやりたかったが、ここは店内だ、下手に目立ちたくないし、もし一希に見つかったらどうする、何て言い訳すればよいのだろう。
悠哉が考え込んでいる間にも俊二は次々と書き付けていく。悠哉は出そうになる声を必死に押さえつけながら塗りつぶす。


「ごほん」


わざとらしく聞こえた咳払いに二人は揃って後ろを向いた。店員がこちらを見ていた、眉間にはしわがよっている。あ、やばい。とっさに曖昧に笑って俊二の腕を引き店から出た。

店からでると悠哉はおもむろにノートを取り出して、筆箱を開きブルーのペンを取り出した。まっさらのノートだ、もうすぐノート提出があるために今現在使用中のノートは使えない。下手をすれば教師や友達の目に触れてしまうだろうから。彼なんかのために新しいノートを使うのには気がひけたが、メールアドレスも知らない俺にはこの手しかない。
何するんじゃ、と書き付けてそれを俊二に渡した。


「悠哉どうした?瑞垣に勉強でも教えてもらってるんか?」


いつの間にか一希が帰ってきていた。ひょいとノートを覗こうとする。悠哉は慌て一希を止めた。古典の発展問題じゃから一希は分からんよ、と。ふーん、と納得したのか、一希はそれ以上突っ込まなかった、一希に見られては困るのだ。一希は携帯を取り出してメールの返信を始めた。


「悠哉くんこれはね」

"もしかして図星?"

「ああ、うん」

"店員に睨まれたじゃろうが"

「ここから訳していけばええわけ」

"図星やな、まあそういうオーラ出てるんやけど"

「じゃあここの訳は?」

"何言うとるんじゃ"

「あぁそれは……」



こうして俺たちの奇妙な関係がはじまったのだった


前置き by mico / プロローグ by エイ



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