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サイレンのような声で、猫が鳴く。
恋を求めて鳴いている。
それは自然の摂理だ、分かってはいるけれど。







……………けれど。







睡眠不足で死にそうだ。




「ザンザス……っっっ!!!!……うるせぇぞぉぉ!!!」


毎日毎朝毎晩、飽きもせずに鳴き続ける愛猫に流石のスクアーロも堪忍袋の緒が切れた。
ベッドの枕元で鳴くザンザスの首根っこを捕まえて、小さな額に軽くデコピンする。
ザンザスは驚き一瞬目をしばたいて、それから三角の耳を伏せて睨み付けて来た。


「カス鮫のくせに、なにしやがる」


瞳孔の細まった赤い瞳は、蛍光灯の下で鋭く煌めく。
その目に真っ直ぐ見据えられたスクアーロが一瞬たじろいだ、その隙に黒猫は膝の上を陣取った。


「ザンザス、今俺は怒ってるんだぜぇ!!」
「うるせぇ」


そんな言葉と共に、ばしりと猫パンチが飛んでくる。
爪を出さなかったから加減したのだろう。肉球がクッションの役割を果たし、ふにゅっと頬に当たっただけのパンチは痛くはなかったが、スクアーロの怒りを煽るには充分だった。


「てめえこのクソ猫!!お前の声がうるさいっつってんだろうがぁ!!にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ、そんなにメス猫とヤりてぇんだったら外に行きやがれ!!そんでもう帰ってくんな!!」


大人げもなく、膝の上にちょこんと座るザンザスに怒鳴り散らしたスクアーロは、叫んだ後バツが悪そうに口を閉じる。
ザンザスはじっと丸い瞳でスクアーロを見上げ「そうか」と一言言うとうつ向いて考え込んでしまった。

(……言い過ぎた、かぁ?)

腕の中の柔らかな毛の感触に触れていると罪悪感が沸々と沸き上がってくる。
実際、ザンザスが悪い訳ではないのだ。発情期にメスを求めるのは自然なこと。
寧ろ、後ろ姿を見た時の尻尾の付け根にある玉が可愛いからと去勢をしなかったスクアーロの方が悪い。

(あぁ、あれは可愛いもんなぁ)




少しずれた事を考えていたスクアーロはうつ向くザンザスに目をやった。
小さな耳が伏せられて、力無く床に垂れたままの尻尾が哀愁を誘う。
その姿になんだか酷くいたたまれなくなって、スクアーロは黒猫の体を抱き締めた。
謝罪しようと覗き込んだザンザスの顔。
落ち込んでいるだろうと思ったザンザスの顔は、けれども不敵に微笑んでいて。


「…?ザンザス?」
「つまりだ、カス鮫」


唇端を吊り上げてにやりと笑ったザンザスは、スクアーロの頬を赤い舌でざらりと舐める。


「嫉妬してるんだろう?」
「……………………………はぁ??」
「メス猫にまで嫉妬するとは、独占欲の強い鮫だな」
「え、ちょっ、何言ってんだぁ???」
「心配しなくともてめえは俺の物だ。今までも、これからもな」
「違うから、っておい!!」
「可愛いとこもあるじゃねぇか。たまには舐めてやる」


濡れた鼻を押し付けられて、ざりざりと頬を舐められる。
ざら付いた舌に舐められ、皮膚を引っ張られる感触にスクアーロは顔をしかめた。
はっきり言って痛い。とても痛い。そして生臭い。


「痛っ、いて、ザンザスやめろぉ!!」
「お前を俺の嫁にしてやる。光栄に思えよ?」


毛繕いのように顔を舐めるザンザスの尻尾は、ぴんと立ってご機嫌な様子で揺れていた。







今日も相変わらずサイレンのように黒猫が鳴く。
それはスクアーロへの、熱烈なラブコール。


……睡眠不足は、まだ続きそうだ。















***
20070413 20000hit,thanks!!

2万ヒットありがとうございました!!!!!!
すっっっごく嬉しいです〜!!(*´∇`*)
皆様に極限感謝♪♪と、ザンスクに愛を込めて。































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