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満月の夜、晧々と月明かりが窓から柔らかく二人を照らす。
闇に慣れた目は微かな光でさえ明るく写し出し、刳り貫かれた影の中でスクアーロは己の唇を強く噛み締めた。





豪奢な玉座に、今その主はいない。代わりに居心地悪そうに座るのは、銀の髪を肘置きに流れかけさせ微かに震える、主の持ち物。
あ、とそれは小さな声を上げてまた悔しそうに唇を噛み締める。潤んだ瞳で睨み付けてもいつもの様な威圧はない。
きつく閉じていた瞼を開け、スクアーロは跪き頭を垂れて自分に忠誠を誓う様にうつ向くザンザスを見下ろした。
普段あまり目にすることのない彼のつむじが漆黒に塗り潰された髪の中、密やかに息づくのを見付けてスクアーロはいたたまれなくなる。見てはいけない、侵し難い聖域の様な気がした。
顔は髪に隠され表情は伺えない。ザンザスは目線を上げることもなく手の中に納まるスクアーロの白い足首を掴み、掲げる様に頭上に上げてぺろりとかかとから爪先まで愛しげに舐め上げた。

「ん…………っ」

唇から噛み殺す事の出来なかった喘ぎが漏れ、呼応する様にさらりとスクアーロの髪が床に座り込むザンザスの元まで舞い降りて来る。
それに気を良くしたのか彼はスクアーロの足裏を至るとこまで舐め回す。土踏まずの辺りと中指と薬指の間は椅子に座ったスクアーロが跳ねる程に反応を返したので、特に念入りに舐めてやった。

「ぁ、あ、ボス……っ」

切な気に細められた色素の薄い瞳が頭上から投げ掛けられる。
普段自分が居座る玉座の前に膝立ちになってスクアーロを見上げるのは、想像以上の興奮を彼にもたらした。それは相手も同じことなのだろう、必死に押さえ込んだ吐息は乱れている。
舌先を足から離すと細い唾液の糸が名残惜しそうに二人を繋げた。それは今の今まで唇を寄せていた足の持ち主、スクアーロの髪とよく似ている。
垂れた唾液を口端から流れるまま放置して視線を上げると薄明かりの中、瞳孔の開いた丸い瞳とかちあった。逆光のせいでその顔には薄い影が落ちている。
あぁ、こいつはいつもこんな風に俺を見ているのかと少し感心して、ぼんやりと自分を見返す彼に口元を弧月に型どった笑みを返してやった。
うつ向き加減で視線を返すスクアーロの頬を髪が流れ、噛み締めていた唇は赤く色付いてザンザスを誘う。白い肌と唇の紅のコントラストが卑猥な線を描いていた。

「もぅ、いいから………っは、やくっ」

赤い唇が耐えきれないと訴えて伸ばされた掌がザンザスの短く切り揃えられた黒髪を掴む。
指先で頭皮を緩くさすりながら強請って、はしたなくも自らの局部に頭を押し付けようとするスクアーロの手を叩き落とした。ぱしんと皮膚が擦れる乾いた音が部屋に響いてその衝撃で掴んだままの足が震える。

「俺に指図するんじゃねぇ」

淫乱な鮫だな。くつくつと笑いザンザスはスクアーロの足の指に歯を立て冷たく誘いを拒絶した。口の中の爪の先にぬるりと舌を這わすと舐められ過ぎて湿り、ふやけた皮膚が柔らかく触れ合う。
もう耐えられないと言わんばかりに椅子の上に身を投げ出して泣き出したスクアーロの涙なのか鼻水なのか、雨の様にそれは一粒ザンザスの額に落ちた。

「いい顔になったじゃねぇか」

涙の代わりに足を滴る唾液を唇で拭ってやると過敏になった体は相変わらず律儀に反応を示す。
もういやだ、早くいかせて。しゃくりあげながら何度も繰り返し強請るスクアーロのその願いが叶うのは、まだ先の事。








その玉座から崩れ落ちて、跪いて許しを請うなら望みを叶えてやろうか?














20070212
いつも話の構成が同じですみませんそれは途中で力尽きるから。
本当はこの後耐えきれなくなったアロが自慰しながらボスのを舐める予定でした( 死 ね )
いつか書けたらいいなー…



























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