レッドが買ったのと同じケーキを睨み付けてはみるが虚しいだけだ。
下らない事は早々に止めレッドの方を振り返ると丁度買い終わった様でレジから大きめの袋を持って戻ってきていた。
「へっへー、グリーンにはやらねーからな!」
「…何だ其れは。」
「俺が全部食う!」
「寂しい奴め。」
「な、うっさい!」
軽口を叩きながらも目当ての物を購入出来たレッドは嬉しそうで上機嫌に鼻歌まで歌い出した。
ああ止めてくれ無自覚のエロさがお前には在るから…!
ふと後ろを見るとレッドの姿が無く、驚いて振り返ってみるとタマムシデパートのショーウィンドウを小さく眺めていた。
目線の先には小物や雑貨などクリスマス仕様にされた物が並んでおり、おおよそから察するにレッドはプレゼントが欲しいのだろう。
やるなら今、だろう。
心臓の音が一瞬とくん、と跳ねる。
大丈夫やれるレッドは俺が好きで俺はレッドに好かれてるよしオーケー。
「レッド。」
「ん?あ、ああごめんつい気に成ってさ!」
「…欲しいのか?」
「へ?いや別に要らない、けど…。」
要らないと云っておきながら視線は並々と横の商品に注がれている。
「レッド左手出してみろ。」
「は?左手?何で?」
「良いから。手袋は外せよ。」
「解ったけど、ちょっと待ってろよ。」
ケーキの袋を逆に持ち替え、ずぽっと手袋を外す。何の違和感も抱かずに差し出された其の薬指に俺は可及的すみやかに指輪を嵌めた。
「はっ?」
「メリークリスマスレッド。好きだよ。」
「……はっ!?」
「煩い。とっとと帰るぞ。」
「え、ちょ、グリーン、此れって何ちょ待って待てってお前今何て―――。」
「だから。」
「前から云ってるだろ。好きだとな。」
「〜〜〜〜な、な、な、」
「お前もやっと気付いたな。」
赤く成って此れ以上赤くは成らないんじゃないかと云う程真っ赤にさせてレッドは口をぱくぱくさせる。
伝えて良かったのかとは考えない。
握った手のひらは、振り解かれないから。
END
Move:2009.2.28 夜忌
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