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「貧血の様ね。」

「貧…血、ですか…?」

「ええ。何だか此の頃出された食事に手付けてなかったみたいだし…。まったくもう。」





用意された薬品臭い部屋のベッドに倒れてしまったキラを乗せ、大急ぎで艦長で在るラミアスに知らせて検査して貰った所、キラの倒れた原因は貧血だったらしい。



「頼りにしてるのに倒れられちゃ困るわ。休む事も大切って教えてあげてね。」

「はい…。」



ラミアスはアスランにそう云って微笑んだ。
アスランは、真面目に此の女性は強いのだろうと思う。精神面が。





視線をベッドに横たわるキラに戻した時、後ろの方から少し低めでよく通る声がした。




「だっせーよなー。コーディネイターなのに貧血とかさ。」

「カガリ。」


輝かしい金髪と凛々しく整った顔立ちの少女、カガリが部屋に入ってきた。





「ま、其の分私達と一緒って事なんだけどな!」

「ああ。」

「お前元気無いな…ってキラが倒れる所に居合わせちゃったんだっけ。」

「………。」

「まぁ頑張れよ?私は此れからキサカ達と話さなきゃいけない事が在るから戻るけど。」

「大丈夫だよ。早く行かないと怒られるんじゃないのか?」

「え、あ、ああ!やばっ!」
 







時間を確認するとカガリは一目散に部屋を出ていった。


やはり溌剌としていて落ち着きが無い。









「キラ…。」



決して眠っている彼には届かない呟き。
其れでも、恐れていた。大切な人間を失う事、また目の前で死んでいく自分と関わり合いの在った親しき人達。




失う事は、辛い。










自身の前で青白い顔をしながらも規則的な寝息を立てる昔からの大切な友人が目の前で突然倒れた時。考えるよりも身体が先に動いていた。












「キラっ!!」











伸ばした手がまた届かない。
救えたモノが己の未熟のせいで救えない。
助けたくて空回りする悪循環。








脳を過ったのは、母親の…。
















「アス…ラン…?」


















ハッとして視線を上げると、自分に向かって手を伸ばしてるキラが居た。



「どうしたの?もしかして…泣いてた?」

「違う。」

「でも、泣きそうな顔してるよ。今のアスラン。」

「そうか。」







目が覚めたキラ。
こんなにも愛惜しい恋人。











「何か、在ったの?」











堪えきれずに抱き締める。




 


あきゅろす。
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