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僕たち三人は今、フラウの部屋にいるー…。



『ーーーっかぁー!!!!うめぇえッッ!!』




そして、お酒を飲んでいる。





『何故聖職者の私たちがお酒を飲めるかって…??それはー…』

『カストル、誰と話してるの?酔ってる??』

『ふっ…私はまだ一杯しか頂いていないので大丈夫です。それに、割と強いですしね。まぁ細かい事は気にしないで。』

『ラブ、お前紅茶なんか飲んでんじゃねぇよ!!』

『僕はお酒はちょっと…』

『ラブは駄目です!!!!!ラブに飲ませたりしたら承知しませんよ!?』

『良いじゃねぇか!!せっかく一年に一度の解禁日なんだ……』




説明しましょう!!!!

お酒とは、もちろん私たち聖職者が口にして良いものではありません。
しかし、この世界には、一年に一度だけ、そういったしがらみを一切捨て去り、聖職者でもお酒を飲むことを許される日があるのです。

そしてそれが今日ー…


細かい事は気にしちゃぁいけません♪
そうゆう事になってるんですから。
因みに原作とは一切関係ありませんので、悪しからず。



『…と、言う訳で、私たち三人はフラウの部屋に集ってお酒を飲んでいる訳です。因みにフラウは酒豪…まぁすぐ酔いますが。私は強い方だと思います。大好きと言う訳でもありませんが。…ラブは飲みません。と言うか、飲ませると大変な事になるんです。』



ラブ★カクテル




『だいたいよぉー、なんで聖職者だからって酒は駄目なんだ…』


フラウは完全にただの酔っぱらいと化していた。

それもその筈。
いくら一年に一度しか飲めないとは言え、目の前には一体どこから買い込んで来たのか分からないぐらいの数の酒瓶が空になっていた。


『フラウ、そろそろやめないと体に悪いよ…』


お酒が飲めない、否、進んで飲もうとはしないラブラドールは、いつもの如くハーブティーを飲んでいた。

『そうですよ。大体フラウは羽目を外しすぎなんですよ。』

カストルは自分のペースを守りつつ、フラウにつき合っている。


『うるせぇーこの眼鏡がっ!!!!いつもラブにべったりしやがって』

『なっ…///』


酔ったフラウは、いつも以上に口が悪く、素直だった。


『とにかく!!もうその辺にしときなさい。日付だってもうすぐ変わりますよ。』


その時。
ーコンコン

ドアがノックされ、シスターの声がする。


『夜分遅くにすみません。カストル司教はいらっしゃいますか?』

『…はい、ここに。』

『ラゼットが呼んでいるのですが、ちょっと来て下さいませんか…?』

『分かりました、すぐ行きます。』



『…少し出てきますね。フラウ、くれぐれもラブに変なことしないで下さいね?!』


そう言って、にっこりと笑ったカストルの後ろからは、フラウにしか見えない殺気が溢れていた。

『行ってらっしゃい、カストル。』











数十分後。







『ただいま帰りました』

用事を済ませ帰ってきたカストルは、硬直した。


『あっ、カストルお帰りぃ〜www』


にっこりと笑うラブラドール。
しかしその顔は紅く染まり、瞳も潤んでいて、なんだか口も回っていない。

『フラウ、あなたまさかっ…』


カストルの顔から見る見る笑顔が消え、黒い気配が渦巻く。

『俺は悪くねぇよ!』

もう駄目だ。

今のフラウを責めたところで、何も解決しない。
ただの酔っぱらいなのだから。


そんな事を考えて落胆していると、足に何かがまとわりつく感覚。


『えへへ、カストルぅ〜好きぃ!』


酔ったラブラドールは、にこにこ笑いながらカストルの足下にすがりついている。


『ラっ、ラブラドールやめなさい!!』

思わず大きな声を出してしまった。
すると、ラブラドールの顔からは笑顔が消え、瞳が更に潤み始める。


『っぅ……駄目?』


『だっ、駄目じゃ、ありません…けど、』



カストルは困ったような顔をして、ラブラドールに肩を貸して立たせ、部屋の住人を振り返った。


『フラウ、私はラブラドールを部屋まで送ってきます。…貴方もせいぜい飲み過ぎないことですね!!』


最後の一言には精一杯の皮肉を込めたのだが、既に部屋の住人は寝息をたてていた。




ラブラドールを支えながらゆっくりと廊下を歩く。


『…カストル、怒ってる??』

ラブラドールは首をかくりと傾けて、とろんとした目でこちらを見ている。

『怒っていませんよ。』

そう言ってはいるものの、ラブラドールにはどうしてもカストルが怒っている様に見えたのだった。


『ううん、怒ってるよ!!』

『いいえ、怒ってません。』

『怒ってる!!!!』

『怒ってません!』


そんな言い合いをしているうちに、二人はラブラドールの部屋の前まで来ていた。


『さぁ、着きましたよ、ラブ。今日は大人しく寝て下さい。』


そう言ってカストルが部屋のドアを開ける。

その瞬間、足下がおぼつかないラブラドールは、カストルの服を掴んで体制を崩した。


『わっ…!?』

『ラブっ?!』


反射的にラブラドールを庇おうとして、数歩歩いて一緒に転倒してしまった。


が、幸い倒れ込んだ場所がベッドで助かった。


『カストルも一緒に寝るー!』

『はぁ!?ラブ、何を言ってるんです?!』

『一緒じゃなきゃ嫌……』


そう言って、カストルの首に手を回すラブラドール。


ー…そう。

お酒を飲ませると大変になる。




カストルが。




酔ったラブラドールは特別悪くなる訳ではない。
ただ、極端に素直で大胆になるので、可愛すぎてカストルが理性を保つのが大変なのだ。
そしてラブラドール当人は大胆になっているので、きっと拒んだりはしないだろう。

しかし、“酒の勢いに任せて”など、罪悪感以外の何物でもない、とカストルは思っていた。

後でラブラドールが知ったらどうなるだろう。
きっと、恥ずかしさの余り泣いてしまうかもしれない。


そうしたら自分にも罪悪感が生まれる。

しかし、そんな可愛い恋人を目の前にして、我慢出来るのかと言われれば、自信がない。
しかも、酔っているとは言え、ラブラドールから誘ってくるなんて滅多にあり得ない事態なのだ。

そんなカストルの死ぬ気の葛藤を余所に、ラブラドールはカストルの頬に軽いキスをしてきた。


『っ…!こら、ラブラドール…』


本当は嬉しいのだが、理性が吹っ飛びそうになるのを必死で堪えているカストルにとっては、ここでラブラドールを引きはがさざるを得ない。


『カストル、だぁーいすきwww』

馬乗りの体制から、今度はカストルの体にぎゅーっと抱きつくラブラドール。

(あぁ…いつものラブなら滅多に言わない様な事を……)


カストルは、半分諦めかけた様に目を閉じた。


『…僕、カストルとしたいな…』


そう言ったラブラドールの全てが妖艶に見えた。

月明かりに照らされて浮かび上がる顔。

長い睫毛は伏せられ、瞳はまだ潤んでいるのか瞬きする度キラキラと光を反射し、頬は先ほどよりも赤みを増した様に思える。
唇も男のそれとは思えない程、妙に色っぽい。
そして先ほどそれが自分に触れたかと思うと、カストルは昂揚した。


『っ…駄目です。』

『どぉして…??カストルは、僕の事好きじゃない…?』


その声は、今にも泣き出しそうに震えている。


カストルはそれを落ち着ける様に、そっとラブラドールの手を取って言った。

『そうではありません。むしろ、私は貴方の事が何よりも大切です。だから、酒の勢いなどでむやみやたらにして、傷つけたくないー…』


しっかりとラブラドールの瞳を見据える。
が、ラブラドールのそれが揺れて涙がこぼれた。

『えっ…』

『違う…!いいの、カストルにならっ……本当は、いつだってこう思ってるの…!!』


そう、涙混じりに必死に訴えるラブラドールの舌は、やはり回っていないが。


『こうゆう時ぐらい、僕から言ったって……いいじゃないっ…っふ…ぅぇ……』



その様子が余りに可愛くて。
カストルはついに諦めた。
否、酔ってるとは言え、ラブラドールがこうまでして言うのだから、罰は当たらないだろうと。



『…分かりました。だから泣かないで、ラブ。』

そういって、カストルはラブラドールの頬に口づけた。


『んっ…』


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