“ラブラドールが見つからない時は、大抵木の根本で眠っている事が多い”
そうカストル司教に教えて貰ってから、何回木の根本を探した事だろう。
ーあの人が、寒さに凍えているんじゃないかと心配で。
透明
『ラブラドール司教!』
まただ。
『どこに居るんですか!?返事をして下さい!』
呼びかけたところで、無駄な事は解っている。
また、ラブラドール司教がいなくなった。
その度にこうして俺は彼を探す。
カサリ。
彼が手入れしている庭の木々の葉も落ち始め、季節は秋から冬へと移り変わろうとしていた。
外はこんなに寒いのに。
それでも、きっと彼はいる。
『やっと見つけた…』
毎度の事に、溜息が漏れるのも仕方のない事だろう。
それでも、俺は懲りずに探してしまう。
何度でも。
これは俺の役目だ、と少しの優越感に似た幸せ浸りながら。
『………ラブラドール司教。』
額にかかる髪にそっと触れ、静かにかきあげると、まるで天使の様な寝顔にドキリとする。
これも、毎回の事なのに。
それなのに、何度見ても見とれてしまう。
『う、ん……』
貴方は今、どんな夢を見ているのですか?
そっと頬に触れ、近づいてみる。
『貴方が誰を愛しているかなんて、解っているんです。でも…』
叶わない想いを抱いてしまった。
この人には好き合ってる人が居て、幸せそうな姿を何度も見てきた。
その度に胸がチクリと痛んだ。
駄目だと、無駄だと解っているのに。
『好きなんです。貴方が。知らなくてもいいー…知って困らせるのは解っているから。』
そっと、その額にキスをする。
『ごめんなさいー…』
一度だけ。
ただ、一度だけ。
こうして愛しい貴方に触れる事を許して下さい。
『好きです、ラブラドール司教…』
そして俺は、何事もなかったかの様にラブラドール司教を起こした。
『ぁ…、おはようウィーダ君……』
『おはようございます。』
『………何で泣いてるの??』
ー…馬鹿だ俺は。
自分が無意識に涙をこぼしていた事にも気づかずに、ただ眠る彼を見つめていた。
慌てて手で顔を覆う。
『なんでもありません、ラブラドール司教…』
『…ウィーダ君の涙は、綺麗だね。』
あぁ、
そんな顔で、微笑わないで。
好きです。
愛しています。
そしてこの想いは、永久に俺の心の奥深く、封印しましょう。
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またまたウィラブ!
今回は思いに気づいたけど、叶わないと知ってて揺れるウィーダ青年です。。
限りなく透明であってほしい!ウィラブは。
なんかこんなんですいませ…(´Д`;)
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