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僕は時々、怖い、怖い夢を見る。
多分、預魂の力の所為で。

そんな夜は怖くて眠れなかった。
こういう時は、いつもカストルが傍に居てくれた。
ぎゅっと抱きしめて、安心させてくれて、僕が眠るまで、ずっとずっと隣に居てくれた。

優しい声で、


『もう大丈夫ですよ、ラブラドール。』


そう囁いてくれた。

その声が僕には子守歌みたいに聞こえて、安心して。



怖い夢は見ないで眠れた。




でもその日は違った。


カストルが居なかったから。



それなのに、僕はまた怖い夢を見る。


恐ろしい闇に喰われて、このまま戻って来れなくなるんじゃないかと思った。苦しくてたまらなかった。


その時。


真っ暗な闇を、一筋の光が切り裂いた。



『ッー…!ラブっ!!!!目ェ覚ませッッ!!!』



フラウだった。

フラウが、カストルと同じ様に。


僕を深い夜の闇から救ってくれたんだ。


怖い、と言う僕の傍に、フラウは一晩中寄り添ってくれた。


いつもカストルがしてくれる様に。



ー…それだけだったのに。



それ以上の、いつもカストルとしかしないような事はしなかったのに。




君以外の名前なんか、呼べない僕にして。







『ラブ、ちょっと来て下さい。』

『いたっ…ちょっ、何カストル…離してよ!?』



カストルが、怒っている。


その夜の事がバレた。
下手に言い訳したくなかったから、僕は違う、とも何も言わなかった。

でもきっと、その態度が余計にカストルを怒らせてしまったのだ。
とにかく、こんな剣幕のカストルを見るのは初めてだった。


『怒ってるの…?』


カストルは無言のまま、こっちの方は見ようともせずに足早に歩いている。


『痛い、よ……手、離して…?』

『ー…もうすぐ離してあげます。』



ただ一言言い放って。
しかしその声は、いままでにないぐらい冷たかった。



バンッ


荒々しく自室の扉を開け、部屋の中に入ると、僕はベッドの上に突き飛ばされた。


『っー…?!』


僕はワケが分からないのと、突き飛ばされた衝撃で目を瞑った。
目にぎゅっと力を込めないと、今にも涙がこぼれてしまいそうで。


ガチャリ、と鍵を閉める音がした。

反射的に体がびくりとなり、目を開くと、目の前にカストルが立っていた。


位置的に見下ろされる形になる。
カストルは無言で、ただラブラドールの揺れる瞳を見つめていた。

何だか金縛りにあったみたいに動けない。

不安いっぱいの瞳が、カストルのそれを見つめ返す。


『貴方が悪いんですよ、ラブ。』

『…え?』

『解っているんでしょう?』

『フラウとは、何もしてない…』



怖い。


声が震えて、上手く喋れない。


『そうですか。あの状況で?』

『また怖い夢を見たから…フラウが、カストルと同じ様に隣に居てくれたんだ。』

『じゃあ、もうその役目は私じゃなくてもいいじゃないですか。』


笑っているのに、瞳が笑っていない。
その視線に心臓を貫かれている様で、息が詰まる。


『違う…よっ…』


もう駄目だ。泣きそうだ。


『何が違うんです?』

『カストルじゃなきゃ嫌だ…!!』

『ほぉ…』





『ーっぁ…!』

『その言葉、本当ですかねぇ?』

『やっ……ほんと、だよ……っん…!!!』




息が出来ないぐらいのキス。

苦しくて、悲しくて。
いつもはこんなのじゃないのに。


『カストル、どうしたら信じてくれるの…?』

『…………』



僕の必死の問いかけに、カストルからの返事はなかった。



その代わりに、カストルは微笑みながらこう言った。






『……もう、私の名前しか呼べなくなるぐらいにしてあげましょうか?』


『ー…ッ…?!やめて、カストルやめてぇっー…!!!!!』










ぼーっとなる意識の中で思う。


あぁ、一番大切な君に信じて貰えなくなるぐらいなら。



そうして。





もう、君以外の名前なんか呼べない僕にして。


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なんか病んでる話!←
基本ほのぼの夫婦が好きですが、ドS……なんかちょっと病んでる系のカストルさんを書きたくて書きました。

自分的パラレル裏設定として


・ラブたんは預魂の力でたまに予知夢みたいな怖い夢を見る
・それで眠れなかったりする
・そうゆう時にカストルさんが傍にいてくれる
・フラウもそれを知ってるからラブがほっとけない

ってゆうのがあります。
これとはまた別の裏の裏設定で、

ラブたんは特定の誰かと恋人ではなくて(そうゆうのが怖いから)、でも予知夢を見て怖い夜とか、寂しい夜は誰かと寝てしまう…とか、ちょっと弱くて病んデレっぽいのも良いと思う!←
カストルさんもフラウも、自分だけのものにはならないって解ってるんだけど、ラブが大好きだからそれでもいい、みたいな。
あんまよろしくない関係だけど、信頼とかあった上での関係だし、ふつうの人間じゃないからこその状況みたいな…
だからありなんじゃないかって思う。

あ、なんか私のカオスな脳内裏設定を伝えるのはとても難しいと気づいた…(´Д`;)

たまにハッピーエンドじゃない病んでる系が書きたくなる!ってことです。←まとめた笑

妄想話にお付き合い下さりありがとうございました(*´∀`*)


あきゅろす。
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