わざと横断歩道の白い部分を避けて、暗いコンクリを踏んでゆく。 そんな姿を眺めながら、不意に視線は広い青空へ向けられた。 『days』 「静、」 ゆっくりゆっくり、その名が彼に聞こえている。反応はない。 「せーいっ」 おまえの名前が好きだと、そんな想いをいっぱい詰めて呼んでやる。 1テンポ置いて振り向いた彼は、微かに笑う。 「腹へった。おごって」 「…偉そうだねぇ」 笑顔と一緒に送ると、少しだけまた微かに返ってくる。 「せい、静っ」 「、なに」 「あれ!虹できてる」 遠くに写るは うっすら七色。 あっ、と一言発すると、彼はしばらくその場に立ったままだった。 久しぶりだなあと、常盤もまた 一緒に遠くを眺めた。 今度はしっかり横断歩道の白い部分を踏んで歩いてゆく。 そんな常盤の姿は不思議に写る。静は視線を彼の足元に落としつつ、渡った。 「白いとこだけ踏むと、いいことあるんだよ」 ふーんと、楽しそうな恋人に笑ってやると、好きだよなんて 返ってきた気がした。 -end- [グループ][ナビ] [HPリング] |