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 ※お別れ話になってます。
 苦手な方はご遠慮下さい。







重なった直感を







血が口の中を濁す。

独特な鉄を混える味は、もう慣れた。
切れた口元を無理矢理に拳で拭う。


ため息を一つ吐いてやって。





理由は忘れてしまった。

気が付いたら殴りあっていて、気が付いたら愛しい相手を下敷きにしていた。

四つん這いになった体制を止めて 膝立ちになりながら見下ろす。
目の前に横たわるモノは、なんだ。




「ルカワ」

口が開いた。

「…ルカワ」


返事はしない。


「…なぁ、わかんねぇよ」

涙というものか。
笑った表情は残酷に、俺の心を突き刺す。

顔を覆った腕で隠れた、桜木の瞳から 俺は消えたんだろう。ただそれだけを考えていた。


「…ルカワ」
「―…あぁ」
「…愛してる」

俺を見ろよ。

「愛しちまった」
「……」
「だから、もう無理だ」


俺を、見ろよ。




一瞬にして、自分の手は桜木の腕を掴んで、床に押し付けていた。

涙で濡れたそれが顔を出す。


「―ッ……」
「どあほう」
「…好きだ」
「おい 桜木」
「、そんな顔で見んなよ」
「さくら…」
「だから、……愛してる」


だから、さよならだ。



確かにそう口が開いた。発した。








永遠なんて ない。

すべてに終わりがくる。



「分かってたんだろ。おまえだって」

最後の深い口付けのあと、桜木は笑った。
「さぁな」と返事をしてやって、思い出した。



そうだ。

桜木が別れを切り出したんだ。
何故か手を出したのも、桜木だ。

それで俺も 分かっていたことを、気付いていたことを言われて、腹が立ったんだ。




もう 俺達は離れた方がいいって。




理由は 最後まで分からなかった。


end









あきゅろす。
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