[携帯モード] [URL送信]

『それを愛というならば』




「おい上木」

後ろの方から低く呼ばれたその声は、残念ながら身体がすぐ反応した。
(間違えるはずがないという意味)

「はい」と振り返って返事をした。
ちょっと来いなんて険しい顔で言われて、不機嫌なことを察知する。


朝メシ後、歯磨き前のこと。


角を曲がって目立たない場所へ連れていかれると、先ずは溜め息。

「あの」
「不破が昨日部屋に来たんだよ」
白石先輩は、僕の言葉を掻き消す。

「泣きついてきたんだよ。あいつが」
「……」
「おまえを好きになっちまったって、どうしたらいいかわからねぇって」

何も、何も出なかった。
あぁ そうですかなんて、言えたらずっと楽なのに。

「一晩中だ。ふざけんな」
「――…ッ」
自然に俯いた顔は、もう上げられながった。先輩の目が全てを、見透いているようで。

「どうせ分かってんだろ、アイツのこと。俺の睡眠返せよ」

すでに呆れ返った様子の溜め息を また聞いた。


「…自分に、何ができますか」


(教えてください)



「………部活来いよ おまえ」

頭を軽く押されて、その手はそのまま離れながら僕の髪の毛を乱していった。

にじむ涙が、足元をぼやかした。
頬を伝わずに真っすぐ落ちていく。


不安で不安で しょうがなかった。
何かの間違いだと自分に言い聞かせた。
食事も上手く喉を通ってくれない。

不安で不安で どうしようもなかった。

だから、言おうかと思っても結局、白石先輩には言えなかった。


(自分も、ヒョウと同じことを横山先輩にしてしまいました)



そして僕はぐらつく膝を押さえて、走り出す。



抑えられないこの想いを
人は罪と呼んだとしても。







*―――――――――

直接的には豹は出せませんでした。
なんていうか、豹鷹ではない気が
漂ってますが豹鷹だと
言い張りますすみません。


※ブラウザバックでお戻りを







あきゅろす。
[グループ][ナビ]
[HPリング]

無料HPエムペ!