手をつないで走ろう (一期設定) なんとなく。 授業をサボってみたくなった。いや、いつもサボってはいるのだが今日は特別なのだ。 ここ最近黒の騎士団の活動に時間を当てていたために出席日数も足りなくなってきている。 まさにギリギリを走っているようなものだ。 前に担任に呼び出された時には、「綱渡りどころか、糸渡りをしているようなものだぞ。」とさりげなく脅しもされている。このような状況で授業をサボるとい うのは自分で自分の首を締めかねない行為だ。そこの所は重々承知している…… 大丈夫、出席日数の計算もしたし、スケジュールも立てた。 イレギュラーに対する解決策も35通り考えてある。 これで全ての条件はクリア。 という訳で、 午後の暖かな陽射しの中、ルルーシュは学園の片隅にある芝生の上に横たわっていた。 さすがに12月にもなると寒さが身にしみるが、空は雲一つない快晴。 日のよく当たっているこの場所は暖かく、しかも下が芝生なのでふかふかと気持ちがいい。 以前ならば寝そべるという行為を絶対にしなかったのだが、とあるピザ好きの魔女のおかげで床で寝ることになってから慣れてしまった。 この場所は以前スザクと共にミレイに頼まれた仕事をしていた時に、ひょんなことで見つけた所で、今のところスザクと自分しか知らない。 ここで日頃の疲れを取ることにしよう。 とルルーシュは午睡に入っていった。 「――シュ。―――ルルーシュってば。」 どれくらい時間が経っただろうか。 肩を揺すられ、自分の名前を呼ぶ声にルルーシュは覚醒へと導かれた。 「ん……。スザク……?どうしたんだ?」 「どうしたんだ?じゃないだろ。探したんぞ?それに、こんな所で寝てたら風邪引く。一体いつからいたんだい?」 目を開いた先にいたのはたった一人の親友であり、自分の敵であり、倒すべき相手。 「……授業は?」 「もう放課後だよ…。仕事が終わって来てみたら会長達が君を探してたから。」 「そうか。」 ルルーシュはスザクの言葉を聞きながら寝ていた体勢から起き上がった。 「さぁ、行こうか?」 スザクが座っているルルーシュの手を掴んで立ち上がらせ、そのまま走り出した。 「お……おい!!もう少しスピードを落としてだな……」 「え?これでも一応遅く…」 「お前みたいな体力馬鹿と一緒にするな!!歩くつもりでだな……ったく何をそんなに急いでる。」 騒ぎながらもいつの間にか二人の手はつつながれていた。 ルルーシュは自分の手をギュッと掴んでいるスザクの手を見た。 きっと、この手は本当の意味ではつながれていないのだろう。 なぜならば自分は反逆者ゼロ。 スザクはブリタニアの軍人で、ユーフェミアの騎士。 正反対の立ち位置にいながらも、自分達が目指す未来と、望みは同じだ。 そう信じている。 いつか、二人でこうして手をつなぐことが出来たら……。 そう願っている。 所詮は叶わない願いか……。とルルーシュは内心、自嘲した。 前を行くスザクがクラブハウスの扉を開ければクラッカーの音と生徒会メンバーの笑顔。 そして、 「「「「「「「「HAPPY BIRTHDAY!!!!ルルーシュ!!!」」」」」」」」 今は取り敢えず。 この暖かな時間を満喫するとするか。 この1年ほど後。 ルルーシュの願いは叶うことになる。 そのことをこの時のルルーシュはまだ知らない。 Chess Boad/永倉葵様 お題元:確かに恋だった ← |