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がんばれリヴァルくん



友情は大切だ。
ただ、それ以上に大切なものも、あるってことだ。
例えば、この一見無口に見える友人。
彼には愛する妹が居て、その妹も、無口に見えるだけであって実は口うるさい兄を愛していた。
彼らは両親を早くに亡くしているらしく、いつもふたりで支え合って暮らしていた。
そういう暖かさってかけがえのないものだと思う。
とはいえ、友情をないがしろにする奴を黙って見過ごすわけにもいかない。
今日も、騒がしい生徒会室からこっそりと抜け出そうとしていた後ろ姿を目敏く見つけたオレは、良いことを思い付いてしまった。

「あれ〜ルルーシュくん、どこに行くのかな」

目に見えて表情が変わっていく。
彼のポーカーフェースは割と簡単にとけてしまうのだ。
あの顔は、「黙れリヴァルその口ぬいつけるぞ」だな。
声に気が付いた生徒会メンバーは瞬時に楽しそうな(すでに十分に楽しそうだったが)笑みを浮かべる。

「あールル、まーた自分だけ逃げだそうとして」
「そうだぞールルーシュくん、君のかわいい妹が会長の毒牙にかかってもいいのかね」
「よいではないかーよいではないかー」
「お、お兄様」

狙い通り(というか元凶が自分なのでそんなふうに言っていいのか謎)、退路をことごとく断った同志たちはさあどうだと言わんばかりに、友人へととどめの一撃。
またの名を最終兵器。

「ルルーシュは昔っから付き合い悪いんだから」

空気が変わった。
あの顔は「スザクこいつどうしてくれよう」だな。

「お言葉だがスザク、お前だって生徒会の集まりには不参加が多いだろう」
「オレは君と違っていそがしいんだよ、ルルーシュ」

繰り広げられる、なんだと、なんだよ、の攻防はもう見慣れたものだ。
カレンはのんびりとお茶を淹れ出した。

「こらこらストーップ、過去を暴くのはミレイさんも大好きだけど、それよりも大事なことがあるでしょう」

過去よりも今、この瞬間。
学生生活を謳歌しようじゃないか。
笑ったり怒ったり泣いたり、また笑ったり。
友情は大切だ。

「今のルルーシュの晴れ姿を晒し…ごほん、みんなにお披露目するほうが重要じゃない」
「下心が隠れていないので却下です」
「ばれてるなら仕方がない、みんな」
「はい、会長」

いつの間に用意したのか、後ろに控えたメンバーの手には、かつてのニャンコグッズが握られていた。
兄想いな妹までもが、加わっている。

「さあ頼んだわよリヴァル」
「リヴァル、お前っ」

くるくると華麗にターゲットを椅子に結びつけてウインク。

「堪忍するニャン」

友情は大切だ。
ただ、それ以上に大切なものも、あるってことだ。


副会長の断末魔が響く生徒会室は、あの日も穏やかだった。
そんな日々がずっと続くと思えるど、子供ではなかった。
結末を簡単に受け入れられるほど、大人でもなかった。
しかししがらみは少しずつ消えてゆくだろう。
そして、ようやく今日が終わるのだ。
明日を迎える人々に悲しみはない。
ならばわたしが泣くとしよう。

「会長ぉー」
「リヴァルー」

取り合った手はあの日と変わらない。
思い出を語る時、彼はただの学生で、ただの友人だった。
ふたりで悪巧みしたことも、文化祭もたくさんのイベントも、大嫌いだった勉強も。
どんなに明日が巡ろうとも、昨日は、消えないのだから。




081215
リヴァルだいすきですー。


あきゅろす。
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