ネタ的に注意。すこしでも嫌な予感がした方はリターン!
もうすぐ春ですね。
あなたを誘ってみていいですか?
川沿い歩く、日はまだ高い。
だらだらとゆっくり日が照り眩しい道をひたすら歩いていく。
いつもだったら電車を使うか、知り合いやら部下やらそこら辺が持っている車に乗る。
今日は事務所からずっと自分の足で一人さ迷っている。一通の手紙と一つの荷物だけで。
もう長袖の服では少し汗ばむ気候で、真っ白なシャツがぢわりと湿る気配がしている。
これを書いている今は雪も溶けて、寒さも緩みました。
貴方のところはどうでしょう?
歩いて一歩、進むたびに脳裏に浮かぶはお前の笑顔。
仏頂面に隠れたその姿が屈託なく笑うのを見れるようになるまでどれ程かかったろう。
下宿近くの子供は、手に手を取り出掛けていきます。
研究室から覗いてたら、雀が日溜まりにまどろんでいます。
河原で無邪気に蝶々を追い掛ける少年ら。
まだ幼さが残るあの頃、無邪気故に躊躇わず触れたその肌の震えを今でも覚えている。
あの柔らかさ、
洒落た服の青年を見掛けると貴方を想い出します。
最後に会ったのは去年でしたか?
切ない切ない話をしました。
別れ話を切り出したのはどちらだったか。
それはすんなりとすんなりと、
哀しみは烈火のように燃えることもなく、燻り自然に消え、煙だけを細く立ち上らせていた。
だから後腐れはその煙分だけ引きずった程度ですぐに消えてしまったのだ。
我儘なのは分かってます。
でももう一度、
もう一度だけ恋をしてみませんか?
――桜散る春に。
川が徐々に広くなり、住宅地が増え静かになる。
川面が見えぬほど桜が植わっている。
その道を脇に反れ、いささか急な石段を少しずつ上がる。
そして樹が増えて先程の汗が止む頃、ひっそりと風が抜ける小さめの広場に出る。
そこに彼がいた。
恋をしてみませんか?
「関口、……」
その姿を確認し、そっと近づく。
手にした手紙がカサリと音をたてた。もう何度も何度も読み返しているので紙にクシャクシャに皺がよっている。
近づいても彼は何も答えない。ただそこにいるだけで。
その事に微笑み、そっと手を伸ばし、感触を確かめるかのように撫でて口づけた。
「お前となら、また恋をしてみたい、ゾ」
自分ができる最高に優しい笑顔と共にそう呟く。
そして口に冷たい感触しか残さなかった彼、―の眠ることを示す石に手を合わせた。
ただ一つの荷物、花の散りきってしまった桜の枝を添えて。
「遅くなったからといってこの僕を置いていくとはお前も偉くなったもんだナ。」
手を合わせ終わり、立ち上がってそう言ってみる。
先に手紙で誘ったのはお前だ、と。
「あんなに拘っていた春を一望できる所に居座るのもいい度胸だ!神たる僕に一番に教えるのが筋だろう!
―――まぁ、今は青しか見えないがナ。」
眼下に広がる桜並木。
その枝はどれも青く、生き生きと葉を繁らせていた。
春の優しさより夏の力強さを纏って。
「また来るよ。次は春にでも」
ゆるりと石段を降りる姿はまるでいつかの別れ話のあとのように。
哀しみは烈火のように燃えることもなく、燻り自然に消え、今は煙だけを細く立ち上らせていた。
けどきっと一番違うのはその煙が消えないこと。
恋が終わらない。
恋をしてみませんか?
恋をしてみませんか?
恋をしていました
ほとんど捏造、そして死ネタをすみません苦手な方本当にすみません…………
死ネタと明記しなかったのは、死ネタと先入観を持って読んでほしくなかったからです。
名曲にのせて、優しく穏やかで切ない話が書きたかったのです。
イメージとしてはアニメ榎
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