[携帯モード] [URL送信]





三百年に一度の大流星群だ。
君は91回目のキスをしたときそう呟いた。
口を放したとき見た君は僕を見ていなく、遥かに星が舞う夜空を見上げていた。漆黒の濡れた瞳には小さな宇宙が出来ている。
空の彼方に浮かぶ星がまるで雨が降るような簡単さで散る。シャランシャランと軽やかにけれど確実に心を奪って。
人が計り知れないくらい年月を重ねた輝きを願い事を祈る間も無く惜し気もなく消える。
つまり流星群とはそういうもので、この胸の高鳴りは砕けた彗星の欠片の美しさに心奪われた地球の甘い焦燥だ。胸を焦がす決して掴めぬ恋だ。

そして地球から生まれた僕らはきっとその意思を継いでいる。
掴めもしないのに遥かに遠い星々を見上げ手を伸ばすのだ。


なんと素晴らしいことだ!


大宇宙の端で雄大でささやかな恋が展開されている。言葉にされることもなく、近づいたら眼差しを向けてそっと手をのばすだけの。


もちろん今流星群なんて来ていない。いくら空を見上げても星は変わらず空に居たままで、僕らのもとにはやってこない。
つまり全ては彼の崇高な思考の欠片の詰め合わせ、妄想のもとに弾き出された言葉だ。

(でもその君の言う流星群とは、僕らが今紡いでいる恋の例えだったら?)

彼を抱き締めて草間に倒れ込む。
夜中一時を疾うに廻った今の時間では辺りには誰もいない。
背丈の高い草達が僕らを隠す。
共に飲みに来た先輩たちは闇に溶けて消えてしまった。

まるで彗星に恋する地球が乗り移ったように、
大流星群の今宵、次は虫の奏でる音を聞きながら、92度目のキスを君にした。

ゆっくりと開かれた彼の宇宙を見ようとする。
しかし僕の身体に馬乗りの状態の彼の瞳にもう宇宙は見えない。黒く澄んだ泉のような眼の頭上に、地球の恋に惑い、流れ落ちてくるありもしない星達が迫る。

シャラン シャラン

「関口、」

彼がふと、はにかむ。

嗚呼、掴めないはずの星が今この腕にいるだろうか?

そっと想いを力に引き寄せる。



「あいしてる」

ああ白い輝きでもう何も見えない。


(だから願う 辿り着くまでに燃え尽きるなと)








テーマは若さゆえの壮大すぎる青い恋。

久しぶりに超両想い意識してかいたのに、完璧独り善がりCHU禅寺……アレ?

ぽるのさん「惑星キミ」のイメージ
でもタイトルはらぐさん(何か趣味にまみれててサーセン)


















あきゅろす。
[グループ][ナビ]
[HPリング]
[管理]

無料HPエムペ!