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美というものが何なのか
それは長らく私の疑問だった。





無に立つ




ある人は生きているもの、有るものは美しいといった。
またある人は崩壊するもの、消滅するもの、破壊活動を行うものこそ美しいといった。





どんな言葉を聞いても私には美というものは分からない。





しかしはっきりと自覚している事は、自分は決して美しくないという事だった。

今まで歩んできたまさに醜いというのが相応しかった。心の弱さも、自分の犯した過ちも、この狂った想いも総てが醜い。



外に出してはいけないと思うが、それはあまりにも苦しく生きがたいものだった。






―――だから君に縋った。





自分の醜い感情を開け出す痛みに血を流し、涙を流し、

矛盾していた 総てが。
しまい込もうとしても苦しい、開け出そうとしても苦しい。
ならば私はどうすれば善いのか?
唯曖昧に夢と現を彷徨って。







そんな私を君はいつでも傍観していた。

打ちのめされた私から一歩遠いところで。





その場所はとても居心地の好いものに見えた、
一度手を延ばしその痛さに突き放した場所。






また望むというのだろうか?
また傷つきたいのだろうか?


苦しいことからは逃げてきたはずなのに。





君は学習をしないねと言われた。
あの子供は誰だっただろう。






(崩壊するもの 消滅するものが美しいというなら私の精神も美しいというのだろうか? 汚く醜くしかないこの心を)












「君は何故僕を抱くんだ?」
叩きつけられた身体、縫い止められた手首に、のしかかられているこの状況で、この質問は至極滑稽だろう。

京極堂は一瞬目を見開き、言葉に詰まったが、直ぐに無表情に戻って静かに云った。





「…別に意味なんて、ないよ。」





発せられた言葉に失笑、
クスリと笑いが漏れだす。
君はまた怪訝な顔をする。







私の精神など美しくは無いならば総てを破壊して





「僕と…堕ちてくれるかい?中禅寺。」


醜い私を一掃 然様なら 総てを無にへと還そう

それで白紙へ戻せるなら








(闇を視たいか、溺れに死ぬか、明日も君を愛して堕ちる。)












あきゅろす。
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