ねぇ中禅寺
人間が生きていることに意味があると思うかい?
繋いだ手を離さない
そんな問い掛けに中禅寺は眉をひそめた。
「なんだって?」
読んでいた本をめくる手を止め静かに関口に聞き返す。
さっきの言葉が聞き間違えではないかと確認するために。
しかし関口は坦々と言葉を紡いだ。胡乱な瞳を少し外してむけながらゆるゆると。
「人間にも種類があると思うんだ。」
そして自分は決して好い種類ではないということ
(血流がぐるりと回転していく)
「ねぇ、僕を殺してくれないかい?ちゅうぜんじ。」
(馬鹿馬鹿しい)
冷静な思考で中禅寺は思った。
、それと共に沸き上がる激情。 (思考が熱くなる!)
ぎりりと音を立てるほどの軋んだ自分の何か。
気付けば白い彼の首筋に手が延びていた。
「いいよ。」
動脈にそっと触れる。
まるで慈しむように。
そしてクッと力をこめた。
(思考がだんだん白くなるのが解った)
それでも関口は少し眉を歪めただけで何も言わなかった。
じわじわと色味をなくして逝く彼の首筋に、ひどく欲情。
一歩一歩死へと近づいていく関口を、手からこぼれ落ちていく命の欠片(むしろ関口の一部かもしれない)
それらが全て自分の血流の熱となりぐるぐるとさっきから回転して、それがいつしか苦しく叫ぶ感情になって、(思考が弾け飛ぶ!)
嗚呼、始めから答えは決まっていたんじゃないか。
荒々しく手の力を緩め、中禅寺は関口の体を乱暴に抱き締めた。
こんな愛情なんていらないんだ。
きみが望んでもきみがいなきゃどうしようもないだろう?
僕が―…
僕が厭なんだ。
「ゴホッ!…ちゅうぜッじ!」
「ここに居給え」
いくらきみが厭でも離してなんかやらない。
(きみの命までもが僕のモノだ)
そう心で呟いて優しく口付けた。
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