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泣き出したのは全て雨のせいにしてしまおう。
君に会いたくて、会いたくて。
無意識のうちに君んちへと足が向かってた。

それなのに行ってみたら君は不在で……もうそれだけでただ広い世界に置いてきぼりな気分。

ヨシノさんが部屋で待ってたらと声をかけてくれたけど今シカマルの部屋に入ったら確実に泣くから大した用でもないからと奈良家に背を向けた。

「ついてないってば。」

アパートまでの帰路は足が重くてとても遠く感じる。

ちょっと愚痴をこぼして空を見上げれば今にも泣き出しそうな曇り空からぽつりと滴が頬に落ちてきた。

おまえも泣きたいんだってば。オレと一緒だってばよ。

初めはぽつりぽつりの小雨だったのがあっという間に本降りになる。

雨を遮るものを持たないオレは頭のてっぺんからずぶ濡れになるのは必至なことで、髪から伝う水滴が頬を通過して顎まで流れ落ちる。

滴る雨水をそのままに俯いたオレの滲んだ視界にはいるのは立ち止まることなくせわしなくで行き交う人々の足下だけ。

オレの気持ちと同調するかのように雨足は強まるばかり。
しばらく涙の流れるままにしていたら急に雨がやんだ。

まだ泣き足りないんだからと空に文句の一つでも云おうかと思ったらいきなり片腕が伸びてきて抱きしめられた。

「超バカ。風邪引くぜ。」

抱きしめられた腕の中振り返ればオレがこれ以上濡れないように傘を差した君がいた。



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