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(と)登校ロマンス、7分間…真田君と丸井ちゃん




学校までは大丈夫だと思ったのに…と尖らせた丸井の唇は、何も塗ってはいないらしいが、いつも薄く赤く色付いていてドキリとさせられる。
すでに濡れてしまっている赤い髪や制服をこれ以上濡らさぬようにと差した傘を丸井側に寄せ、雨を防ぐ。

「もう濡れてるし肩ぐらいなら多少濡れても大丈夫だぜい」
「そういうわけにはいかんだろ」
「優しい真田って気持ち悪い」

内側に一歩、丸井なりの気遣いなのか失礼な言葉を吐きながら二人で入るには小さな傘に収まろうと体を寄せてくる。
夏服から伸びた雨で冷えた腕が傘を差す腕にあたる。
丸井は特に気にした様子はないみたいだが、柔らかな感触に一瞬上昇した体温に気付かれやしないかと内心はビクリとしながら傘の柄を持つ手に力がこもる。

「朝は降水確率40%って天気予報言ってたし、家出た時に降ってなかったのになぁ」
「昼からは80%だぞ。今日みたいな日は傘を持ってくるのが当たり前だろう」
「荷物になるじゃん。それに学校に置きっぱなしにしている傘あるから持って帰るのにちょうどいいって思ってたのにさ」

丸井は自分の不注意をたなにあげ恨めしげに空を見上げる。
空は雨雲、バラバラと雨粒が降り注ぐ。
空を見ていた丸井の目線がそらされ、目が合う。

「真田が通り掛かってくれてラッキーだったぜ。ジャッカルに連絡しても、傘買えって言われたし」

普段は立ち寄ることはない学校近くのコンビニ前で丸井に声をかけられた。
そういえば、呼び止められた時に携帯に怒鳴って切っていた気がする。

「…真田は優しいよな」

こてん、と腕に頭を寄せられて丸井の目線が下がる。

「…また、何かあったのか?」
「別に…」

丸井に甘えられる時というのは、ジャッカルと何かあった時でひょんな事で慰めた日から弱音の吐け口に頼られる。

「…真田と相合い傘って、噂なったら嫌だなあ」
「…失礼だな」
「嘘、嘘。朝練もどこも中止だろ。誰にも見られねぇだろうし、見られても付き合ってるなんて思われねぇだろぃ」
「………」
「…ジャッカルの奴、今日は朝練中止だから絶対、彼女と一緒に学校行くために迎えに来なかったんだぜ」

ぽつぽつと話し始める丸井はいつものことながら酷く痛々しげで、可哀相だ。
怒っている口ぶりだが悲しそうなのだ。
いつもと違うこの姿をジャッカルに見せれば、ジャッカルも丸井の気持ちに気付くのではないかと思うが丸井は素直にならない。
ジャッカルも丸井とは長年付き合っているのだから強がりな丸井の性格を分かっていそうなのに、向けられいる好意には気付かず鈍い。このような丸井の姿も知らないのだろう。

「…あ〜ぁ、雨なんて降らなきゃいいのに」

丸井の切なる呟きに反して、『雨が降って良かった』と、この状況を心は喜ぶ。
コンビニから学校まで7分。
歩幅を合わせる振りをして、わざと歩調を緩めた。




Thanks!!4years old.




あきゅろす。
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