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(よ)余熱…一氏+小石川



思い詰めた、というよりは溢れてしまったように一氏は掠れた声で告白した。
真っ赤に、ベタな言い方をすれば茹でタコのように赤くなった顔で『好きや』なんて言う。
何を言い出すのだと、部室で備品の点検をしていた小石川は抱えていた木箱の薬箱を持つ手に力を入れた。

「あんな、俺メッチャ小春好きやねん」

続いた言葉に瞬時に安堵し、言われるなら女の子が良かったと小石川は思った。放課後の部室で可愛い女の子に告白されてみたいし、そんな夢みたいなことを勘違いとはいえ男に擬似的に体験させられるとは虚しくもなってきてしまう。
一氏が小春を好き。そんな分かりきったことを今更と思いはしたが、ツッコミを入れるところではないと空気を感じ取り小石川は話を聞く。

「別にキッ、キスとかしたいとかちゃうねんけど…っ、手とかは握りたい思うんや」
「…いつもくっついとるし、手やって肩やって抱きつきもしとるやないか」
「ちゃうねん!!それは、あくまで笑いのためで小春は本気ちゃうし…」

小春は賢い。勉強はもちろん、人としても色々含め賢いのだ。
たぶんこの一氏の気持ちだって気付いている。
笑いのためと、初めはイチャツいたふりをしていたのがいつの日か他の男を追いかけるふりをしだした。
笑いのマンネリ化を防ぐためだと思っていたが、もしかしたら一氏の気持ちへの予防線なのかもしれない。

「キスは想像したらほんま死にそうなるし、恐れ多いし…小春汚しとるみたいで……あれやけど………手は繋ぎたいねん」
「………」
「嘘でも笑いのためでも、手繋いだら熱いし…。熱で死にそうなるんや」
「………なんで、俺に言うねん」
「なんや健二郎は笑わん気がして…」
「銀のほうが適任ちゃうか?」
「アホッ!!銀なんかに相談したら、あんな…あんな…仏みたいな……懺悔みたいななってまうやろ」

想像してか、目を見開き震え怯える一氏に、分からんでもないけどなぁと…小石川は小さく呟き、慰めと励ましと優しさを交えて一氏の肩を叩いた。

「取りあえず冷えぴた貼るか?」
「そんなやわな熱ちゃうわ!!」



Thanks!!4years old.




あきゅろす。
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