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(き)共犯者…きりひよ高校生設定



寒さに凍える冬の日に、切原は自慢そうに手に入れたばかりのバイクを乗って神奈川から東京にやってきた。
赤くなった鼻に寒さがうかがえるが、寒さなんて気にもならないぐらい上機嫌なのかいつもよりさらににやけた顔でいる。
切原が単純に先輩が乗っていてカッコ良かったという理由でバイクを乗ろうと決めたのを知っているし、高校最後の夏休みから始めたバイトで貯めたお金で免許を取ったことも知っている。
免許が取れた時には馬鹿でも受かるものなのかと驚きはしたが。

「送っていくよ」

必要ないと断ったが、いつもみたいに駅で別れなくてもバイクがあるから送っていくと言われた。
風はないがさらされた耳が痛くなるような寒さの中バイクを引く切原と並んで歩く。
冬休みということでいつもより遅くなった真夜中の道は、俺と切原以外は人影がなくたまに交える会話が住宅街の壁を反響し響く。

「日吉ん家ってさ、結構距離あったよな?」
「駅から15分くらいだ」
「…誰もいねぇし、乗れば?」

立ち止り、バイクのシートを叩く切原の提案はもちろん却下だ。

「免許の取りたての奴の後ろに誰が好き好んで乗るんだ。殺す気か?」
「安全運転するし、5分ぐらいで着くし!!」
「断る!!」
「大丈夫!!スピード出さないし!!ほ〜ら、乗れってば」

強引に腕を引っ張られ促されれば、渋々ながらも従う。
断って拒否すればいいのに、結局は切原の思いのまま。たぶん、出会った頃から勝てはしない。
バイクに跨った切原の後ろに乗る。ひとつだけしかないヘルメットを被せられ、行くよーと、声をかけられると緩やかにバイクは発進した。
緩やかではあるが発進した勢いに思わず切原のダウンジャケットを掴む。

「落ちないように腰に手まわして掴まっててよ」
「さっ…む……」

緩やかに発進したバイクはスピードを上げる。スピードを上げると寒さの風が突き刺さって痛い。
寒さを避けるために切原の背中に顔を押し付け腰に腕を回し、風よけにする。

「日吉―、これで警察捕まったらヤバイから」
「はっ?」
「二人乗りって免許取って一年以上じゃないと違反なんだよな」
「テッメェ、すぐ降ろせ!!」
「大きな声出すと捕まるぜ」
「………っ」
「共犯者っつーことで、捕まったら運命共同体な」

さらに加速するバイクは真夜中の道を走る。
大人しくしがみついて黙った俺に切原のにやついた顔が容易に想像できる。
家の前に着いたら一発思い切り殴ってやろう。



「無事、着いて良かったなぁ。運転結構上手いっしょ?」
「違反してる時点で犯罪なんだよ」
「まぁ、まぁ見つからなかったし。…じゃあ、帰るわ」

さっき殴った頬を擦っていた手を切原はひらひらと振り、ヘルメットを被り直す。
喜ばすつもりはないが、こんな深夜、今から帰ると日付が変わってしまう。

「遅いし、泊まっていけ」
「えっ、何誘っ…!!」
「ふざけたこと言うなら帰れ」
「嘘だって!!お邪魔します!!」

殴ったあと、少しはマシになっていたにやけたツラがまたさらににやけたツラに戻った。




Thanks!!4years old.




あきゅろす。
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