今日はクリスマスかとケーキ屋を見て思い出した。
SOS団的にはイヴに盛り上がるべきだとハルヒが言ったので昨日は部室で騒いだな。そりゃもう古泉が大声で笑いだしたり朝比奈さんが不可解な踊りを披露してくれたりと普段見れない顔が見れたぐらいに。
22時ぐらいが1番ピークだったと思い出しては笑いを堪えケーキ屋に入る。甘い匂いが広がり綺麗なお姉さんが笑顔で迎えてくれた。
慣れない空気にキョロキョロしながら小さなショートケーキを2つ買って店を出た。何やらどっと疲れたのは言うまでもない。
ケーキが入った箱を持って先程よりも少し軽い足取りで目的地へと向かう。
きっと彼奴は珍しいと驚いて、そして笑うのだろう。
10分程歩いて目的のマンションにたどり着く。持っていた鍵で入り口を開けエレベーターに乗り込んで部屋の前に到着だ。
コンコン、とわざとノックをして待てば俺だと思わなかったからか心底ダルそうな顔をした古泉がドアを開けて出てきた。予想以上の表情での出迎えに思わず吹き出してしまう。
古泉は俺を見つけた途端目を見開いて驚いてるようだった。
「えっと…あの…キョンくんですよね?」
「他の誰に見えるっていうんだよ。」
「そうですね、すいません。来るなんて考えてもいなかったので驚きました。」
それはお前の顔を見れば分かる。と口にしながらまたプッと吹き出して笑った。古泉は頭をかいて情けない表情をしている。そんなに見せたくなかったのだろうか。
俺はまぁ、見れて嬉しかったがな。
「外は寒いですから中へどうぞ。結構散らかってますが。」
「おう。」
靴を脱いで定位置のソファーへと腰を下ろす。周囲を見れば本と書類らしき紙が床に散らばっている。散らかっているとは本人も言っていたがこれはまた予想してなかった散らかり方だ。いつも片付いていたのは意識して掃除をしていたのかと思うと何やら気恥ずかしくなる。まるでお前は少女漫画に出てくるような奴だな。
そんな事を考えながら近くにあった本を何気無く読んでみたものの相対的理論がどうのこうのと永遠と書かれていてまったくもって理解出来なかった。古泉の奴はこんな小難しい本ばかり読んでいるからまわりくどい口調になるんだな。
彼奴らしいと笑みをもらしていると珈琲を注いで古泉がキッチンから帰ってきた。軽く礼を言いながら2度手間になって悪いが皿とフォークを2人分持ってきてはくれないかと頼む。
「いいですけど、何か買って来たのですか?」
「ああ。…その、ケーキをな。買ってきた。」
「ケーキ、ですか。」
チラリと顔色を伺ってみれば古泉は目を丸くして驚いていた。いや、確かに俺のキャラではないかもしれんがそんなに驚くことか!?
「すいません。こんなに嬉しい事が立て続けに起きたので一瞬夢なのではないかと…」
「大袈裟だな。」
「それでもこんなに幸せなクリスマスは初めてです。隣に貴方がいて良かった。」
そんな恥ずかしい事を古泉の奴は平気で言えるのかもしれないが言われ慣れていない俺からしたら恥ずかしくて布団を被ってプチ現実逃避をしたくなる。今の俺はきっと耳まで真っ赤であろう。
古泉はニコリと、それこそ大多数の女子が惚れてしまいそうな程の笑みを見せながら楽しそうにキッチンへと消えてしまった。
あ゛ーもう、調子が狂う。
本当は俺のペースにもっていってからかおうと思ったんだがな。
まぁでもいいか。
彼奴が幸せだと言うのなら、俺はそれで満足だ。
ケーキが入った箱を開けて小さなショートケーキを確認しながら俺は古泉を待つのであった。
なぁ古泉、この部屋に甘い匂いがするというのも、悪くないだろう?
END
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デレ気味なキョンと幸せいっぱいな古泉でした(笑)
甘くしすぎました。そして長い…ラブってるだけなのに何故か長い!(苦笑)
お粗末さまでした。
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