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幼稚園児並みの恋愛感覚を持った古泉との微妙なやりとりが始まって数日経った。
が、しかし俺たちの間に特に変化は無い。
違いがあると言えば朝に坂の下で古泉が待ち伏せを始めたぐらいだ。
だからどうした、と言われれば返す言葉も無い。あいつはその程度の行動しか起こしてないのだ。
馬鹿だからしょうがない、と思っていたが、苛立ちを通り越して呆れてくる。
変な所で俺に気を使っているのかもしれないが、もっと自分のしたいように行動したらどうなんだ。





「つ……次の日曜日、お暇ですか?」

もはや日課になってしまいそうな古泉との朝の登校途中で、どこか視線を泳がせながら、隣の男がそう俺に聞いてきた。
この問いの真意なんて考えなくても分かる。どこかに誘いたいのだろう。
「ハルヒの呼び出しが無ければ、空いてるな」
悲しいことに、俺の休日の予定なんてほぼハルヒで埋め尽くされて……いや、ハルヒでしか埋め尽くされない。だからハルヒからのお誘いが無い限り、予定が入るなんてことはほぼ無い。
……それを考えるとまるで友達のいないやつみたいだな。一応、いるはずなんだが。
同じクラスのアホ顔を思い出す。あいつは休日は何をしてるんだろう。
「えっと、でしたら……ぼ、ぼ僕と、どこか行きましぇんか?」
「……ああ」
別に構わない、が。何故この程度のセリフを噛む。
これは笑うところか?笑うところなのか?隣の古泉は赤面しながらなにやら手悪さをしている。OKが出て照れているのか、それともセリフを噛んだ事が恥ずかしいのかどっちなんだ。
むしろ緊張を紛らわすためにわざと噛んだとか?だとしたら俺は突っ込むべきなのか。しかし既に突っ込むタイミングを逃してしまった気がする。
そんなどうでもいい事をうだうだと悩んでいたら、いつの間にか学校に到着していた。下足で、へらへらと笑う古泉に手を振って別れる。
そして教室に到着した辺りで、古泉からメールで日曜の予定とやらが届いた。待ち合わせ時間も場所も決めてある。律儀な男だな。
さっきまでまともに喋れてなかった癖になんだこの行動の速さは。



丁度良くその日曜日にはハルヒの呼び出しも無く、天気も晴天となった。
一応待ち合わせの10分前には到着するように家を出たのだが、指定された場所に向かってみると既に古泉が待っていた。
毎朝の待ち伏せといい、人を待つのが好きなのだろうか。
「お前、何時からここにいたんだ?」
長い間待たせていたら申し訳ないので、一応聞いておく。
「さっき来たばかりですよ」
しかし古泉はにこにこ笑ってそう答えた。
それは本当なのか、それとも実際にはかなり待っていたのだけど、誤魔化しているのか。
斜め上にある古泉の顔を眺めてみても、答えは出ない。こいつは自分を隠すのが上手いからな。
そこから、適当に雑貨を見て回ったり、ゲームセンターに入ってみたり……と、俺の行きたい場所を回って、古泉はその後ろをついて来るだけ。
お前の行きたい場所は無いのかと聞いてみても、僕はあなたと一緒にいられるだけで満足です。としか返ってこない。お前から出かけようと誘ってきたんだろうが。
そんなだらだらとした時間が続き、気がついたら日も落ちかけて辺りが薄暗くなっていた。








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