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「でもやっぱお前が悪いよな」
「はい?」
一連の行為が終わって、甘いピロートークの時間かと思いきや、彼の第一声はそれだった。
「だって何も知らずに好きな奴の家に行ってみたら、いきなり自分じゃない奴といちゃついてる上、なんか挑発的な事言われて追い返されてさ。しかも相手は同性同士だぜ。俺だったら泣く」
「あー……そう、ですか?」
僕はその意見に同意できなかったため、煮え切らない返事を返してしまった。
彼がそれに素早く反応して、僕を見る。
「じゃあお前だったらどうするんだ?」
「たぶん、二人を引き離してあなたを連れ去りますね」
気持ちのままに答えたら、あからさまに顔を顰められた。
「……なんかそれ、違う」
呆れたようにため息をついて、自分の膝を抱えた。何がどう違うんだろう。
僕がそれを聞く前に、彼は膝の間にがくりと頭を垂れた。
「あーもう、明日あの女子に謝った方がいいのか?でもあんなとこ見らちまったんだぞ、どんな顔して会えばいいんだか。くそ、古泉の馬鹿野郎が……!」
なんで結局は僕が怒られないといけないのだろうか。いまいち納得がいかない。
「仕方ないですよ。だって僕にはあなたがいますし、結局彼女は最初から振られる運命だったんですし……ただその振られ方が、ちょっと刺激的だっただけです」
だいたい僕は間違ったことなんて言っていないし、やってもいない。他人に見せ付けてしまったのは、少し問題があったかもしれないけど。だいたい僕らが謝罪したところで、また彼女の心の傷を抉るだけだと思う。
彼はぷいっと僕から顔を背けた。
「……お前のそういう割り切った所、嫌いだ」
「そうですか」
彼の背中にぴったりと張り付く。
肌越しに伝わってくる体温が、心地よい。
「……あなたが彼女に奪われなくて、本当によかった」
「だからそれはお前の勘違いだったって言ってるだろ」
床についた手に僕の手を重ねて指を絡ませてみたら、寄りかかるように僕に体重を預けてきた。
「今日は疲れた。俺は寝る」
「はい。おやすみなさい」
僕が言い終わる前に、彼は目を閉じた。
繋いでいない方の手で僕に寄りかかる身体を支えなおして、抱きしめた。
体温だけでなく、胸の鼓動さえ伝わってしまいそうな距離に彼がいる。夢にまで見た光景だ。
このまま時間が止まってしまえばいいのにと、心から思った。












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たぶん30分後ぐらいに身体が痺れてきて焦りだします。




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