「俺は、そんなつもりじゃ……」
「あなたにそんな気が無くても、僕はそう感じましたよ」
僕の言葉を聞いて、彼が顔を伏せながら、ごめん、と呟いた。
「僕のほうこそ、一人で先走ってしまって……すいません」
挙げ句、こんな無理に関係を進めようとしてしまって。
僕の謝罪を聞いた彼が、思い出したように今の自分の姿を確認した。視線を下に向けて、現状を理解した途端、一気に顔が真っ赤になる。
「お、お前、ちょっと離れろ！」
顎をぐいっと押されて、僕は一旦彼の上から移動した。僕の真下で寝ていた彼は、急いで起き上がってから、制服のスラックスの中身を確認しだした。
そして、大きな溜息。
「……これ、どうやって洗濯すればいいんだ？」
「汚れている場所を念入りに洗えば、取れる……んじゃないですか？」
とは言っても、僕もタンパク質が制服に付着した事なんて無いから、それで綺麗に落ちるかどうかは分からない。
「……ま、後で考えるか」
汚れたスラックスを脱ぎ捨てる。中に履いていた下着も、精液でぐちゃぐちゃになってしまっていた。それもあっさりと脱いで、床に落とす。
上半身制服、下半身裸という彼のマニアック且つあられもない姿に、思わず視線を逸らしてしまった。
「何焦ってるんだよ。男同士なのに」
「だ、だって……！」
僕はさっきまであなたを襲おうとしていたんですよ！少しくらい危機感を持ってくれてもいいと思うんですけど！
そう言うと、彼はぷっ、と吹き出した。僕は真面目に言っているのに。
「別に気にしねぇよ。元々俺達そういう事をしててもおかしくない関係だし」
「そ、そうですけど」
それに、と言葉を続ける。
「……お前になら、何をされても構わないし」
あまりにも嬉しい一言に、僕は感極まって彼に抱きついた。
「お、い、ちょっと……待てっ……てばぁ……」
床の上に押し倒したまま、露出した下半身を探る。一回射精してしまっているため、彼のペニス周辺は既に精液でどろどろだ。僕がちょっと指を動かすだけで、ぐちゅぐちゅと嫌らしい音が鳴り、更に情欲を煽る。
「何言ってるんですか、僕になら何をされてもいいんでしょう？」
「いや、そう言ったけど、なっ……ふ、ぁっ」
仰け反った首筋に舌を這わせる。じっくりと舐め上げると、彼が首を振って嫌がった。
「ふ、風呂っ……入りたい……！」
「お風呂、ですか？」
手の動きを止めて、彼の顔を見つめる。
欲情して朱に染まった頬は、とてもおいしそうで、すぐにでも吸い付いてしまいたい。
「今日は汗、かいたから。汚い」
「気にしません」
そう言いながら、僕は彼の頬に唇を寄せた。キスマークを付けるようにちゅうっと肌を吸うと、ほんのりと汗の味がする。
「おいしい。あなたの味がします」
「ばっ……ばかやろっ……！」
顎に歯をたてて、ペニスを弄る片手の動きを再開させた。握って扱くのでは無く、上から力を込めて押し曲げ、腹部と手の平の間で先端の丸みを帯びた部分をぐりぐりと弄りつつ、刺激をする。
「あっ、ああっ……あっ…」
彼の声が段々と艶を帯びるのにつれて、ペニスから滴る体液が増えていった。
「はっ……ふぁ、あっ」
「んっ……」
身体を捻りながら喘ぐ彼の肩口に顔を埋める。白いシャツに唇を寄せると、僕にとっても馴染み深い布地は、彼の汗を吸って少し湿っていた。
「……ん、はぁ」
匂いを嗅いでいたら、我慢できなくなってしまい、思わず肩に噛み付く。
「いっ…ぁっ！」
手の中の性器がびくびくと痙攣した。しかし、絶頂に達するぎりぎりの瞬間に、くびれた所を握り締める。
「ひぃ、んっ！」
一回大きく震えてから、脱力したように地面に身体を横たえた。息を少し整えてから、睨みつけるように僕を見上げる。
「は、なせ……」
「すいません、つい」
「ついって何だよ、ついっ……て……ぁっ」
ペニスをさらに強く締め上げる。ゆっくりと、力を込めながら。
「ぁっ……く、ああっ……！」
じわりじわりと与えられる快感に、彼が苦悶の表情を浮かべる。
いつまでもその顔を眺めていたい気もしたのだが、ずっとこうして焦らして苛めていては可哀相なので、そろそろ離してあげる事にする。
最後に指で作った輪を解く時、一瞬亀頭の部分をぐりっと強く摘んだ。
「ぅっ！あ、ひっあああっ！」
ぶるぶると痙攣しながら、勢い良く精液を吐き出した。さっき一回出したばかりなのに、元気なものだ。
飛び散った白い体液は彼のシャツだけでなく、床や僕の衣服にまで付着している。
「あーあ……後で掃除しないといけませんね」
「……ん、ぅ」
落ちた精液を眺めていたら、肩に手を回された。どこか虚ろな目をした彼が、僕の身体を自分の方へと引き寄せる。
その仕草がまるでキスをねだっているように見えて、半開きの唇に口付けた。
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