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僕だって男だ
此処で一発言わないと!

純情少年


今日は幸せな夢を見ました。
マスターに気持ちを伝えたら、マスターも同じ気持ちで。
二人でショッピング行って
その後に海に行って
その後に…
き、キスなんか…

「あああああああああああ!」
「はっ、えっ、どうしましたか!?」
「8時!8時34分!」
「あああ!す、すみません!!」

大好きなマスターの声で目覚めたのはいいんだけど、
喜びをかみしめる前に冷や汗が出る。
今日は平日。学生のマスターは勿論学校があって、
毎朝僕が起こすと決まっている、のにもかかわらず、
幸せな夢をみたばかりに寝坊してしまったらしい。

マスターは乱れたパジャマをその場で脱ぎ始める
「わっ!マスター!」
「レンは後ろ向いてて!」
「はっ、はい!」

もう何がなんだかわからないまま後ろを向く。
服を脱ぐ音と着る音だけが部屋に響く。
どうしよう。マスターに迷惑かけた。

「あの、マスター、」
「なに?!今急いでるから帰ってからでいいかな!」
「あ、はい…」

あ、謝るぐらいすぐ済むのに、なんで返事しちゃうんだろう、僕。

「マスター、ご飯は」
「食べる暇ないって!じゃあ今日遅くなるから!」

言い捨ててマスターは玄関を出た。
大丈夫かな、多分靴ちゃんと履けてない。
転んだりしなきゃいいんだけど…
それに朝ごはんはちゃんと食べないと貧血とか…

嫌な予感だけかする。
まあ、大丈夫かな。

「マスターには悪いけど、いい夢見ちゃった」

小さく呟く言葉。
嬉しさが込み上げてくる。

あ、そっか。全部夢なんだ。
そう考えると嬉しさがだんだんと小さくなるのがわかった。

そう、全部夢。あり得ないんだ、きっと。
僕とマスターが両思いだなんて。
キスするなんて。

き、きす…

顔が熱くなる。絶対今赤いって!
よかった、今マスターがいなくて。

さてと、部屋の掃除でもしようかな。
僕はパジャマを脱ぎ捨てて着替えると台所へと足を踏み出した。

あれ、そういえば。

「お弁当作ってない!」
どうしよう、今日の分のお弁当作ってない!
ってことはマスター今日のお昼ごはん無し…

朝も食べてないのに昼ごはんまで無いってさすがに。

僕はいそいで冷蔵庫を開ける。
昨日準備はしておいたから食材はある。
今から作れば時間も間に合うだろう。
あとはどうやって渡すか、だな。

マスターの学校、場所は知ってるけど行くのは初めて。
と、とにかくマスターの為にも渡しに行かなくちゃ!

急いで手を動かし始める。
一応メニューは考えてあるから大丈夫かな。



***

なんとか着いたけど、入っちゃっていいのかな…
腕時計を見る。12時55分。ぎりぎりセーフってところ。

なんか緊張するな…

でも此処まで来たんだし!行かなきゃ駄目だ!
僕は校門を潜り抜ける。
初めて来た学校は広くて驚いた。
マスターは此処で勉強してるんだ…

僕も人間だったら、此処に通ってたのかもしれない。


「あれ、キミもしかしてVOCALOID?」
「あ、はい」
「うそー!どうして此処にいるの?」
「えっと、マスターにお弁当届けに来て」
「マスターって?」
「ええっと」

マスターと同じ制服を着た女子が二人。
必死に説明するけど声がつっかえちゃって上手く話せない。
だって、マスター以外の人と会話なんてめったにないし。

「あれ、もしかして鏡音レン!?」
「わー本物だー!」

だんだんと僕に気づいた生徒たちが男女構わず近寄ってくる。
ど、どうしよう。

まず、マスター探さなきゃ!

「あの、2年B組ってどこか教えてください」
「うん、いーよー♪」
「有難うございます!」

よかった、優しい人で。
でも見慣れない景色に、沢山の人にはまだ慣れない。

「此処だよ」
「本当に有難うございます!」

「あの、マスター!」
「あ、レン、どうしたの!?」

沢山の人の中からマスターがでてくる。
安心感が押し寄せてきた。

「あの、これ!」
僕はお弁当を取り出すとマスターに差し出した。

「あっ、ありがとー!助かった!」

よかった、マスターの役に立てたみたいで。
マスターの笑顔を見ると安心する。

「よかったじゃん、来てくれて」
「うん。さすが私のレン」
「まず、忘れるお前がイケないんじゃん?お前のことだから寝坊しただろー!」
「な、何故わかったし…」
「お前のことならなんでもわかるのー」

だ、誰だこの卑猥な男は。
マスターに慣れなれしい、というかマスターも仲良しそうに話してるし。

「あのその人…」
「あ、この人私の隣の席のー…ってあれ?レンー!?」

気づいたら廊下を走っていた。
知らないおじさんが僕に向かって「廊下は走るなー!」といってるのが聞こえるけど、それどころじゃない。

に、逃げてきてしまった…

「私の彼氏」とか「私の好きな人」とか言いそうで、聞きたくなくて。
やっぱり学校は何があるかわからない。
僕は学校の生徒じゃないし、人間でもないから僕がいない間にマスターはもしかして、もしかして

もう他に好きな人がいたのかもしれない。

嫌だ、な。そんなの。

校門を出て、空になった鞄を握りつぶす。
やっぱり正夢にはならないのが現実。
僕のこと好きじゃなくてもいいけど、
いいけどさ
マスターが他の人を好きになるのは絶対に嫌なんだ。

でもそんなこと伝えられる訳ない...

「ただいまー…」

誰もいないから返事が返ってこないのは当たり前なんだけど、静まり返った部屋に無性に寂しくなった。
マスター、早く帰ってきてほしい。けど、会わす顔がない。

しばらくボーっとしてる間、時間が経っていく。
マスターは今頃なにしてるんだろう。
きっと僕のことなんか忘れてさっきの卑猥な男と楽しそうに話してるんだろうな。
マスターが楽しいなら僕はそれで嬉しいけど、やっぱり嫌だ。

マスターの笑顔好きなのに、さっき卑猥な男と話してるときのマスターの笑顔は見たくなかった。

僕、きっと、マスターのこと、誰よりも好きなんだ、


「レン!」
「お、おかえりなさい…」

息切れしてる。走って帰ってきた?
そういえば朝、遅くなるって言ってたのにいつもより帰りが早い。

「もー、どうしたの?心配して部活行かないで早く帰ってきちゃったよ」
「す、すみません!」

どうしよう、今日マスターに迷惑ばっかり…
でも心配してくれたんだ。忘れてなんかなかったんだ。
それは嬉しかった。けど、

「どうしてあの時走って行っちゃったの?」
「や、えっと、その…」

言えない。
あの卑猥な男とマスターが仲良く話してるところ見て嫉妬してたから、なんて。
死んでも言えない。
きっと又、迷惑かけるだけ

「なんでも、ないんです!ホントにすみません…」
「何かあるでしょ?お願い、何でも言ってよ…、心配するじゃん…」

マスターに頼まれた!しかもなんか心配かけてるし!

言わなきゃ、でも。
そうだ!これを機会に、気持ち伝えちゃえば…

マスターのこと好き!って!

「あの!とにかく僕はマスターのことが、す、すっ」
「す?」

だ、駄目だああああ!言えない!
や、此処で引いたら男が廃る…

「す、好き!な、の…」

だんだん小さく、そして最後の方は多分聞こえないぐらい小さくなる僕の声。
はず、恥ずかしい。

「…なんで今言った?」
「す、すみません…」
「ホントレンは可愛いなーっ」

笑いながら僕の頭を撫で回すマスター。
なんか、なんか流されたような…

でも、いいや。
伝えられたし。やれば僕だってできるじゃん!

(私も好きだよー)
(ま、正夢だ!!)
(正夢?)
(じゃあ、ショッピングに、海に、き、キス!)
(へ…?)


___________________

レンじゃないレン。
レン性格決まってないから難しい。
けど、レンきゅん愛してるからなんでもいいや\(^o^)/

卑猥な男て(´・ω・`)
卑猥な男=隣の席の卑猥な男

実は卑猥な男はレンきゅんに興味があったりするただのショタコン



あきゅろす。
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