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好きなのに
やっぱり思いを伝えることは
ものすごく恥ずかしいから絶対にしない!

ツンデレの事情


「レン、今日カイト君遊びに来るから」

とか言いながら俺の頭を当たり前のように撫でるマスター。
きっと赤面してる。

「わかったから触るなよ!」
「えー、レンきゅん冷たい…」
「きゅんって言うな!」
「ケチ!」


ま、また俺は余計な事を。
ホントは、別に嫌じゃないのに。
触られるのも、レンきゅんって言われるのは何かかなり恥ずかしいけどマスターがそう呼びたいなら俺は。

そう、俺は所謂“ツンデレ”ってやつらしい。

何かに気が付いたかのようにマスターは玄関へ向かった。

「どーぞ!」

きた。
気持ち悪いぐらい素直な奴が。

「おじゃましまーす」
「いらっしゃい、カイト君」

俺より一回り大きなカイト兄は近所に住むマスターの友達のVOCALOIDで、よく遊びに来る。

俺はこいつが大嫌いだ。
別に、こいつが悪いわけじゃないんだけど、カイト兄のマスターより俺のマスターの方に甘えてるのがわかるから。

普通に「レン君のマスターが世界で一番すきなんだ」とか言ってるし、
マスターはそれ聞いて普通に「ありがとー、私もカイト君好きだよー」とか言ってるし。

「あ、レン君久しぶりだね」
「んー」

興味なさそうに俺が返事をするとカイト兄はマスターの後ろを付いていった。
俺は仲良く話しながら廊下を歩く二人の後ろを付いていった。

せっかくの休日だってのに。
めったに無い、マスターのバイトが休みの土曜日なのに。

なんでこいつなんかが。

「カイト君、バニラアイスでいいかな?」
「はい!有難うございます!」

マスターは嬉しそうに「了解」と言って台所へ行った。
カイト兄の笑みは消えない。
そのまま俺へと視線を移した。

「なんだよ」
「レン君のマスターは本当に優しいよね。レン君も幸せ者なんだなあって」

そりゃあ世界で一番のマスターですから。

……そんなこと絶対言ってやんないけど。

「なんで?カイト兄のマスターもいい人じゃん」
「意地悪ばっかりするんだよ。アイスお預けーって言ったり、僕がマスターに沢山話しかけてもほとんど無視だし」

カイト兄は一つため息をついてから台所へと目をやった。

「ただ構ってほしいだけなんだけどね」

カイト兄は苦笑いを浮かべた。
それでもすぐにいつもどおりの笑顔が視界に入る。

「でも、マスター言ってくれたんだ。無視してる訳じゃないし、アイスお預けはカイトが可愛いからーって。意味わかんないよね」

嬉しそうに笑うカイト兄が羨ましかった。
俺も、こんな風に笑ってたらマスター俺のこと好きになってくれるかな。
素直になったらカイト兄以上に可愛がってくれるかな。

「はい、どうぞ」
「わー、有難うございます!」
「いえいえ」

いつの間にかマスターはアイスを二つ持ってテーブル付近に立っていた。
白いバニラアイスをカイト兄の前に置いて、もう一つのバナナ色のアイスを俺の前に置いた。

「はい、いつもの」

あ、言わなきゃ。
カイト兄みたいに笑顔でありがとうって。

「…別に俺ほしいなんて言ってないし」

あ、俺バカだー!
後悔した瞬間、マスターの笑顔は消えて、一つため息をついた。

「はいはい、わかりましたよー。じゃあ私食べちゃおっと」

スプーンでバナナ味のアイスを口に運ぶマスター。

なんで、こうなっちゃうんだろう。
本当は凄く嬉しくて、ちゃんと御礼も言いたいのに。
マスターの笑顔見たら照れちゃって、言いたい言葉も頭で消えて、可愛くない言葉しか出ない。

俺の悪いところ。

「美味しいです!」
「ホント?ありがとー」

そういえば最近、僕といる時のマスターは笑わなくなった気がする。

俺の態度に呆れたから?
俺といるとつまらないから?

俺のこと、嫌いになったから?

やだ、そんなの。
でも、聞けない、そんなこと。

悔しいけど、カイト兄といるマスターは凄く幸せそうだった。

「っ」
「あ、レン!」

気づいたら部屋にいた。
何逃げてんだ、ホント弱虫。
こんな俺なんかマスター好きになってくれない…

しばらくすると、カイト兄の声が聞こえた。

「レン君、どうしたの?レン君のマスター心配してたよ?あ、入ってもいいかな?」
「…どーぞ……」

マスターに心配かけちゃってる、どうしよう。
でも今マスターの顔見れないよ。


「なあ、カイト兄」
「え?」

「どうしたらそんなに素直になれるの?」

凄く恥ずかしかった。
だってカイト兄はきょとんとした顔で、何言ってんだコイツみたいな顔してんだもん。

「え…?す、なおに?」
「う、うん」

「僕、素直かな?」
「素直じゃん!」

何、自覚なし?さすがバカイト。
カイト兄はきょとんとした顔のままで腕組した。

「えーと、よくわかんないんだけど、レン君は素直になりたいの?」
「う、ん」
「なんで?」

ストーレートだな。
でも、カイト兄になら言えそう、かも

「マスターは、きっと、カイト兄みたいな素直なVOCALOIDが好き、なんだと、思う、から」

だんだんと小さくなる俺の声。
カイト兄は「ああ、」と声を漏らした。
「レン君はレン君のマスターのこと大好きなんだね」

「は、は!?」
「だって好かれたいから素直になる努力をしたいんでしょ?」

見抜かれた、のか?
というか、俺、マスターのこと大好き、なのか?!
そ、そっか。俺マスターのことだいす…

「なんでレン君顔赤いの?」
「へ!?赤くなんかなってな!「なってるなってる」

ははっと笑うカイト兄。
やばい、恥ずかしい。
こんなんじゃ、素直になんかなれない

「でもその気持ち、ちゃんとレン君のマスターに伝えなきゃ」
「どう、やって…」
「レン君がレン君のマスターのことが大好きならきっと言えるよ。大好きの人の為にも、自分の為にもって考えれば」

大好きな人の為にも、自分の為にも…
言える、かな。
もしそれでマスターが喜んでくれるなら、俺も嬉しい。
言える、言わなきゃマスターはわかんない!

「ありがとカイト兄!」
「あ、うん、どういたしましてー」

微笑むカイト兄を後にして、マスターの元へ駆けつけた。
「あ、レン!心配したんだよ、どうしたの?あ、もうしかして私がアイス食べちゃったから!?大丈夫!レンの分はまだ冷蔵庫にあるから!」

あれ、マスター怒ってない?
「あ、いや、その」
「え?違う?」

あ、恥ずかしい。
又思っても無いこと言っちゃいそう、

「マスター、俺」
「え?」
「マスターのこと、き、きら」
「?」

言え、言っちゃえよ俺!
マスターのこと嫌いじゃないよ、大好きだからって!
マスターの為にも、俺の為にも!

「マスターのこと、嫌いってわけでもないから!」
「…へ?」

俺の少し強めの声が部屋に響く。

あ、
バカだ、本当にバカな俺。

駄目だよ、カイト兄。やっぱり俺には無理そう。
あー、泣きたい。
こんな言い方したらマスターに不快感与えさせるだけじゃん。
マスターの顔が見れないよ。

「あは、何それー」
「…笑うなよ」
「あ、ごめんね。その、ありがと」

視界が本当に真っ暗になって、いい匂いがした。
あれ、俺マスターに抱きしめられて、る、!?

「や、な、なに…!」
「いやー、レンきゅん本当に可愛いなって♪」
「きゅんって言うなバカー!」

「レン、さっきのさ、好きって言ってくれたってこと?」
「え、えっ、えっと、その」
「そういうことにしちゃうからさ!私もレンのこと大好きー」

わ、わ
大好きって、俺のこと?!

「俺、大好きなんて言ってな…!」
「え、好きじゃないの?」

「…好き、です」
「あはは」

カイト兄、ちゃんと言えたよ。
マスター笑ってくれた。
俺も笑ってた。

好きって言えたけど、次は“大好き"って言おう、かな

(レン大好きーっ)
(俺は、好きなだけで大好きな訳じゃないからな!……うそ、です、大好き、で、す)

ほら言えた


________
ツンデレってよくわかんない(´・ω・`)
このカイト兄さんは15歳、ショタっ仔(え

レンきゅんよかったなー!デレ期がきて!
まずバナナ味のアイスってwwwwwww






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