船中八策
一、天下ノ政権ヲ朝廷ニ奉還セシメ、政令宜シク朝廷ヨリ出ヅベキ事。
一、上下議政局ヲ設ケ、議員ヲ置キテ万機ヲ参賛セシメ、万機宜シク公議ニ決スベキ事。
一、有材ノ公卿諸侯及ビ天下ノ人材ヲ顧問ニ備ヘ官爵ヲ賜ヒ、宜シク従来有名無実ノ官ヲ除クベキ事。
一、外国ノ交際広ク公議ヲ採リ、新ニ至当ノ規約ヲ立ツベキ事。
一、古来ノ律令を折衷シ、新ニ無窮ノ大典ヲ撰定スベキ事。
一、海軍宜ク拡張スベキ事。
一、御親兵ヲ置キ、帝都ヲ守衛セシムベキ事。
一、金銀物貨宜シク外国ト平均ノ法ヲ設クベキ事。
以上八策ハ方今天下ノ形勢ヲ察シ、之ヲ宇内万国ニ徴スルニ、之ヲ捨テ他ニ済時ノ急務アルナシ。苟モ此数策ヲ断行セバ、皇運ヲ挽回シ、国勢ヲ拡張シ、万国ト並行スルモ、亦敢テ難シトセズ。伏テ願クハ公明正大ノ道理ニ基キ、一大英断ヲ以テ天下ト更始一新セン。

「以後二十年にわたり日本を風靡する近代的な諸観念が、すべて盛り込まれていた。老いくちた愚劣な諸制度の一掃、統治形態と商業組織の合理的再編成、国防軍の創設などである。(中略)それは武力を要せずして幕府顛覆を可能ならしめようとする方策であった」

「明治維新の綱領が、ほとんどそっくりこの坂本の綱領中に含まれている。その用語はやがて一1868年の『御誓文』にそのままこだまするし、その公約は、1874年に板垣(乾)退助(土佐藩大監察)、後藤象二郎(土佐藩、参政)が民選議員設立運動を始めるときの請願の論拠となる」
「坂本龍馬と明治維新」
著者プリンストン大学日本史教授マリアス・B・ジャンセン氏
(訳 者・平尾 道雄氏、浜田 亀吉氏)
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